世代が違えば、常識や価値観も違って当然。上の世代が「そんなこともできないのか!」と驚くことがあっても、若い世代からすれば、できるできない以前に「そもそも知らない」ということだって多々あるのです。「世代が違う部下」に悩むのはどの業界も同じ。ここでは現役歯科医の筆者が実践するマネジメントテクニックを紹介します。※本連載は、大澤優子氏の著書『歯科衛生士のトリセツ』(かざひの文庫)から一部を抜粋・再編集したものです。

LINE世代は「会話を広げる」ということが苦手

仕事中、若いスタッフとやりとりをしていると、必要な情報にたどり着くまでに何度も会話のラリーをしなければいけなくて疲れる…。

 

そんな経験はないでしょうか。彼女たちが情報をまとめられず、短文で何度もやりとりをしなければならないのは、LINEでのやりとりにばかり慣れているのが原因のような気がします。

 

「会話を広げる」ということが苦手で、ひとつ投げかけたことに対してひとつ返すのが精一杯なのです。

 

面接時に、仕事とは関係ない話(趣味や時事ネタなど)を振ってみて、会話を膨らませられるようであれば患者さんとのやり取りにも幅が出て、人気の歯科衛生士に成長します。

患者のニーズを把握するため「聞き取りリスト」を作成

かつて、当院のスタッフも問診表の聞きとりでさえ、5W1Hを満たせないことがありました。彼女たちに任せていると、どういった症状を抱えて来院されたのかがわからないのです。

 

そのため、今では下記のようなリストを作って、聞き取り時に活用しています。

 

①いつから

②どこが

③どうした

④現在の痛みの有無

⑤その他

 

これで、必要な情報を漏らさずに問診表を作ることができるようになりました。

 

怒ったり呆れたりするよりも、彼女たちは何が苦手で、どうすれば改善できるかを考えて形にするよう、こちらも思考を切り替えましょう。

「9時から開始です」と伝えたら?時間感覚という盲点

時間に対する感覚も、若いスタッフとはズレが生じるもののひとつです。例えば診療が9時開始の場合。9時に患者さんを診療室に呼び入れるのか、9時に治療が開始できるように準備を終わらせておくのか。

 

私が勤務医の頃は、9時開始といえば、9時には院長が仕事を開始できるように準備しておくのが当たり前でした。しかし、今の若い人たちの仕事に関する時間感覚はどうやら違うようで、「9時開始」と伝えると、「9時になってから患者さんを待合室に呼びに行く」というイメージです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

細かいことですが、どちらかに統一しておかなければ、歯科医師側はまだかまだかとイライラし、スタッフ側はまだまだ大丈夫と呑気に構えている、などということになります。

低いキャンセル率…院内が「時間厳守」になった成果

院内にはいくつか時計があると思いますが、それらの時刻のズレが大きい歯科医院ほど時間にルーズで、予約制なのに全く時間が守られていないといったことがよくあるようです。

 

予約は患者さんとの約束です。約束を守る。基本的かつ初歩的なことですが、案外できていないものです。

 

まずは、歯科医師とスタッフの間で時間の感覚をすり合わせ、「時間厳守しなければならない」という空気を作りましょう。

 

ちなみに、当院では患者さんを15分お待たせしたら歯ブラシを1本差し上げることに決めています。

 

こちらが約束を守ると、相手も守ってくれます。お陰様で、今のところキャンセル率は2パーセント以下。「5分遅れます」とわざわざ電話をしてくれる患者さんもいらっしゃいます。

 

 

大澤 優子

株式会社ケロル代表取締役、歯科医師

 

 

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歯科衛生士のトリセツ 女性歯科医師だからわかる歯科マネジメント

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