定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、初めて金融機関の窓口で投資信託を買うときの注意点について解説します。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

資産運用をしようと思った日から「積立投資」を始める

「資産運用を始めるタイミングはいつがいいのでしょうか。もっと値段が下がったところで始めればいいですか?」と質問されることがあります。

 

「もっと下がったところで」と考えている人は、本当に下がったとき、「いやいや、もっと下がるはずだ」と考えているうちに上昇へと転じてしまい、絶好の買い場を逃してしまいます。

 

不思議なもので、「上昇に転じたのだから買えばいいのに」と思うかも知れませんが、実は買えないものなのです。1万円だった投資信託が8000円まで値下がりしたとき、「7000円まで下がったら買おう」と思っているうちに8200円、8500円というように値上がりしたら、買えますか?

 

難しいでしょう。これは多分にメンタルな要因なのですが、8000円という安値を見てしまっているので、8200円や8500円は高いと感じてしまうのです。結果、買うタイミングを逃しているうちに、値段はさらに上昇してしまい、臍を噛むというわけです。

 

このような考え方だと、いつまで経っても資産運用を始めることができませんから、まさに思い立ったが吉日で、資産運用を始めようと思ったときから積立投資をスタートさせるのが、最もベターな考え方です。

資産運用を始めない人に共通する「2つの言い訳」

ところで、いつまで経っても資産運用を始めない人は、次のような言い訳をする傾向が顕著です。

 

「もう少しお金が貯まったら」

「もう少し勉強してから」

 

どうも「資産運用」と聞くと、「お金持ちがすること」というイメージにとらわれていて、100万円、あるいは200万円というような、ある程度まとまった金額にならないとできないと思っている人が大勢いらっしゃいます。

 

でも、「もう少しお金が貯まったら」と言っている人は、きっと100万円、あるいは200万円が貯まったとしても、なかなか資産運用を始めようとしません。

 

結局、資産運用は何となく面倒というイメージが先にあって、それをしないための言い訳として、「もう少しお金が貯まったら」と言っているだけに過ぎないのです。

 

だからこそ、積立投資を利用する意味があるのです。積立投資なら、それこそ数千円から始めることができます。お金が貯まっていなくても、誰でも利用できます。

 

なので、「もう少しお金が貯まったら」とおっしゃる方には、「いまは数千円から資産運用をスタートできるので、とにかく始めてください」と申し上げるようにしています。

 

また、「もう少し勉強してから」という人も同じです。そもそも資産運用や経済、金融の勉強って、始めたらキリがありません。範囲も広いし奥も深い。それを50歳になってから勉強しようとして、プロの知識に追い付くのは絶対に不可能です。これもやはり心の底では「資産運用なんて面倒」などと思っている人の言い訳に過ぎません。

 

この2つが口癖になっているうちは、絶対に資産運用を始めることはできません。老後資金の不安を払拭させるために、今日から禁句にしましょう。

 

山中 伸枝

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役

 

 

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50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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