定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、初めて金融機関の窓口で投資信託を買うときの注意点について解説します。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

金融機関の営業担当者は「ノルマ」を課せられている

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

これまで証券会社を利用したことがない、ましてや投資信託を買ったことがない人は大勢いらっしゃるでしょう。それは、1830兆円もある個人金融資産のうち、投資信託の購入額はわずか67兆円で、全体に占める比率が3.7%しかないことからも、おわかりいただけると思います。

 

最近はiDeCoやつみたてNISAで、少しは注目されている感のある投資信託ですが、現実的には圧倒的に認知度が低いのです。

 

では、全くどのようなものかわからない投資信託を買おうとしたとき、みなさんはどこでその知識を得ますか。

 

商品知識を得るための方法としては、まずインターネットで調べることでしょう。ネット上には、実際に投資信託で資産形成をしている投信ブロガーと呼ばれる人たちのサイトもあって、そこに詳しく体験談などが書かれています。

 

ただ、なかには文字を読むだけでは納得がいかないという人もいると思います。疑問点を相手にぶつけ、答えを引き出したほうが理解できるというタイプの人ですね。こういうタイプの人は、おそらく金融機関に行って説明を聞くと思います。

 

それは別に何の問題もありません。銀行や証券会社の窓口に行き、「初めて投資信託を買うので、商品内容を教えてください」と言えば、相手は新しいお客さんが来たと思っていますから、懇切丁寧に教えてくれるはずです。自分のわからない点については、どんどん質問してください。ただし、注意点があります。

 

それは絶対に「お勧めは何ですか?」と聞かないことです。

 

もし、このような質問をしたら、対応している担当者は「やったー!」と心の中で大喜びをしているはずです。なぜなら、自分のノルマを消化できるからです。

 

「販売目標」とか何とか別な言い方をして、「うちでは営業担当者にノルマを課していません」などと言っている金融機関がありますが、基本的に金融機関、それも店舗を構えている対面型営業をしている金融機関の営業担当者で、ノルマを課せられていない人はほぼ皆無と考えてください。そのノルマを少しでも解消しようとして、必死に営業をしているのです。

 

そのようなところに、無防備にも「お勧めを教えてください」などと言ったら、営業担当者がいま、最もノルマで苦しんでいる投資信託を売りつけてくるのは間違いありません。だから、このような質問は絶対に御法度です。

窓口の担当者に聞くべき、投資全般に関する質問3つ

また、販売窓口の担当者に聞くことは、個別商品の内容ではなく、投資信託全般の質問に留めておきましょう。たとえば、次の3つの質問です。

 

●何に投資していますか?(世界に分散投資が基本)

●手数料はいくらですか?(コスト高はデメリット)

●税金はどうなりますか?(iDeCoやつみたてNISAを優先)

 

そもそも金融機関の店頭に行って質問するのは、投資信託の仕組みについてわからない点があるからであり、個別商品を売りつけられに行くのではありません。

 

もし先方が具体的に、お勧め商品など個別商品の説明を始めたら、「何を選ぶかは後日決めます」と言って、その場を去りましょう。

 

金融機関が開催する無料セミナーも同様です。知識を得るために、セミナーに足を運ぶことはいいことですが、そこで紹介された商品をそのまま買ってはいけません。不明点は質問をしてクリアにするべきですが、ここでも先ほど同様、「何を選ぶかは後日決めます」と言いましょう。

 

「投資は自己責任」と言われます。これは、投資をする以上、最低限守らなければならないルールだと思います。

 

投資は、対象が株式であれ債券であれ、投資信託、外貨、仮想通貨、不動産、金など、商品の違いを問わず、すべて損をするリスクがあります。だからこそ自己責任なのです。自分の判断で何に投資するかを選び、どのタイミングで投資するか、どこまで儲かったら手を引くかということを、すべて自分で判断しましょう。

 

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50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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