年金不安は若年層にも広がり、年金制度は全世代共通の関心ごとになっています。制度の仕組みについては主なことはよく知られていますが、一方で、あまり知られていない盲点も。今回は公的年金と税金について見ていきます。

「公的年金=雑所得」だから所得税・住民税がかかる

年金14万円…それで暮らしていけるのかな……。

 

そう不安に感じている20代の新入社員に「さらに税金がかかるね」と言えば、「えっ!?」と一瞬言葉を失って……そんなシーンも多いかもしれません。

 

もうやってらんない…(※画像はイメージです/PIXTA)
もうやってらんない…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

年金は「雑所得」。所得税と住民税が課税されます。税額計算のベースとなる所得金額は国税庁『公的年金等に係る雑所得の速算表』で簡単に計算でき、基本的に「公的年金等にかかる雑所得=年金受給額-公的年金等控除額」という計算になります。ここでいう年金は、老年基礎年金や老齢厚生年金のほか、公務員などの共済組合からの年金、企業年金なども含みます。公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額によって変わります(図表)

 

出所:国税庁ホームページより
[図表]公的年金等に係る雑所得の速算表 出所:国税庁ホームページより

 

所得税は確定申告で税額を確定させてから支払うのが原則ですが、年金は給与と同じく受給額に応じて所得税が源泉徴収されます。「65歳未満で年額108万円以上の人」「65歳以上で年額158万円以上の人」が対象で、それ以外の人は源泉徴収されません。しかし他の所得によっては税金がかかる場合もあり、その場合は確定申告が必要となります。

 

仮に前出の厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額14万6000円、1年で175万2000円をに手にするとしましょう。さらに年金収入158万円以下の配偶者を扶養しているとします。

 

公的年金控除は71万3000円で、年金所得(雑所得)は103万9000円。さらに基礎控除として48万円、配偶者控除として38万円が差し引かれ、課税所得は17万9000円。所得税は8900円となります。

 

次に住民税ですが、基礎控除が43万円、配偶者控除が33万円で、課税所得は27万9000円。税率10%に均等割額5000円が加わり、3万2900円が住民税となります。

 

よって手取り収入は171万200円。4万円ほど、税金にとられる計算になります。

 

とても多いとはいえない公的年金。平均的な受給額であれば税金がかかる、というのが現状です。

 

 

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