老後不安から資産形成の重要性が叫ばれていますが、それでも「貯蓄がない」という世帯は一定数いるもの。その先にはどのような未来が待っているのでしょうか。金融広報中央委員会の調査などから紐解いていきます。

貯蓄なし…生活苦の高齢者世帯はどれほどいるのか?

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2020年)』によると、金融資産の保有額は、平均値で1436万円、中央値は650万円でした。

 

ここでいう金融資産とは「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用のため、または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工・農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備える部分は除く」としています。

 

「金融資産を保有していない」とする人の割合を見てみると、若年層はもちろん定年を迎えた60歳以上でも将来を見据えた蓄えがないとする層が多いことがわかります。また高収入というイメージの年収1000万円超でも、金融資産なしという層が少なからずいて、家計運営の危うさを感じます。

 

■世帯主の年齢別
20歳代:16.0%
30歳代:8.2%
40歳代:13.5%
50歳代:13.3%
60歳代:18.3%
70歳代:18.6%

■年間収入別
無収入:38.1%
~300万円:30.4%
300万~500万円:17.9%
500万~750万円:8.8%
750万~1000万円:5.0%
1000万~1200万円:4.0%
1200万円~:5.4%

■持ち家別
持ち家:13.3%
非持ち家:25.2%

■世帯類型別
世帯主夫婦のみ:15.6%
世帯主夫婦と子:12.7%
世帯主夫婦と親:17.1%

 

さらに問題は、「預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分」を加えた「金融商品」も「保有していない」とする人たち。二人以上世帯の1.5%と、割合は少ないものの、対象世帯約3500万世帯(厚生労働省『厚生統計要覧(令和元年度)』より)に対して1.5%と考えると、全国で約50万世帯は「その日の暮らしもままならない」という状況に追い込まれていることになります。

 

さらに高齢者世帯に注目してみます。65歳以上の人がいる世帯は、約2500万世帯。そのうち単独世帯は約680万世帯、夫婦のみの世帯は約800万世帯、親と未婚の子のみの世帯は約500万世帯。仮にその1.5%が「金融商品も保有していない世帯」だとすると、どれくらいの数になるのでしょうか。

 

■金融商品も保有していない世帯

65歳単独世帯:10万2000世帯
夫婦のみ世帯:12万世帯
親+未婚の子世帯:7万5000世帯

 

割合ではなかなかイメージできない現状が見えてきました。

 

なぜこんなにお金がない…(※画像はイメージです/PIXTA)
なぜこんなにお金がない…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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