「怒るのも教育!」ただし、この怒り方はダメ
そして、彼と二人で決めました。第一歩として、「嫌だなというほうを選択して生きてみよう」ということです。だから、人がどう見ようとまず一緒に予備校に行こう。そして自分のために勉強してみよう。そしてその勉強が今日はどこが楽しかったのか私に話してほしい。彼はとても素直に「頑張る」と言ってくれたのです。
その彼が2年後、某大学の医学部に入学しました。私は彼の白衣姿を想像し、涙が止まりませんでした。若者はみるみる間に成長します。何と素晴らしいことでしょうか。
この子の場合は、親の放任と過保護が原因で、世間に向き合う準備ができていなかったのです。私が彼を説得している間、親はどうしていたか。「この予備校で本当にいいの?」と何回も本人に向かって言っていました。つまり、親こそが、人のせいにする習慣の持ち主だったのです。
このように「親からまず教育しなければ」と思うことも少なくありません。もちろん、親にも注文をつけます。「お母さんもお父さんも、体当たりでやってください。怒るのも教育なのです」などとよく言います。ただ、感情に任せて怒るのではなく、ちゃんと理性的に怒ることが大切です。
「ここは怒ってあげなくちゃ」というタイミングにはしっかりと怒らなくてはいけないのです。それも親の義務です。親が「面倒だな。子供と喧嘩などしたくないな」と避ければ、子供も同じように嫌なことを避ける人間になってしまいます。
ただ、繰り返しますが、感情で怒っても意味がありません。理性的に、相手の反応を観察しながら怒るのです。
多くの親は怒らないか、感情的に怒るかのどちらかです。感情で怒る場合は、価値観もどこかにいってしまいますし、子供に対する説明もありません。
ただひたすら子供を責めます。「お前はダメだ」と言い続けます。それでいて「結果を出せ、早く出せ、何をやっているのだ」とせっつきます。それでは子供の感情はズタズタになってしまいます。
たとえ世間は待ってくれないとしても、親くらいは長い目で見て、待ってあげる寛容さが必要なのではないでしょうか。
とにかくちゃんと子供のことを見てあげて、向き合っていくことです。どんなに忙しくても、そこをなおざりにしてはいけません。できるだけの時間を子供に注いでほしいのです。親が怠ければ、子供にもうつります。それが親の後ろ姿なのです。
長澤 潔志
医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役
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