医学部受験専門予備校に通っていた4浪中(22歳)の学生は、他の生徒とのトラブルのせいで、少しずつ授業に来る回数が減っていました。心配した医学部専門予備校の長澤潔志氏が生徒の家に行き、顔つきを見てあることに気が付きました。

「父親に褒められたことがある?」返事に涙が…

彼の場合もそうです。ここに来るまで両親はなんでもっと早く自分たちのことに気づかなかったのでしょうか。ある時は、子供の立場に立って一緒に考える、また一緒に行動してみる。

 

「お父さんはお前の成績が上がってほしいけど、でも何のために勉強するのか考えてみようよ」とか、「世の中にはこれだけいろいろな職業があるんだよ。それらはこんな長所と欠点があったりするので、最後は自分自身がこの世の中で進みたい方向を決めて、自分で生きていかなければいけないよ」「その方向の助言はいくらでもするよ。でも決めるのは自分であり、生きるのも自分なんだよ」といった具合にです。

 

これだけのことをなぜ、直接向き合って子供たちに言わないのでしょうか。仕事で忙しいのでしょうか? 家事で忙しいのでしょうか?

 

さらに私は彼に聞きました。

 

「お父さんに褒められたことある?」

 

「うん、一回ある。柔道で県大会に出た時に、『偉い!』と言われた」

 

「それくらいしかないの?」

 

「うん」

 

「そうか。じゃあ、今、どう思っている?」

 

「いつかまた、同じことを言われたい。だから頑張ってみる」

 

私は本当に涙が出そうでした。

 

それから私は彼に、まず第一歩として「嫌だなと思うこと、面倒くさいなと思うことに挑戦すること」を時間をかけて強く勧めました。練習の厳しい柔道で頑張った経験があるのですから、彼にはそれができるはずだと信じました。

 

柔道の話には、彼は目を輝かせます。自信があるのです。そして、自分のことを人がどう見ているか顔色をうかがうのではなく(これは無意識に父親の顔色を毎日うかがっていたからです)、自分がどうしたら気持ちが充実するのか、またどうすればすべてに自信を持てるようになるのかを一晩中話し合いました。

 

自分の部屋にこもれば、その場は楽になるけれども、だんだん寂しくなるし、勉強もしたくなくなるし、宿題をしていないような気持ちになることを、彼は切々と他人である私に4時間もしゃべったのです。親と20年一緒にいて、そのような時間を取ってもらったことがいったい、あったのでしょうか。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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