医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などもあり、近年、医学部人気が高まっているという。従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦し、全国の82医学部入試の難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

読書は思考力のトレーニングに有効である

幼少期の読書と「できる子」との関連性

 

思考力のトレーニングには、読書も有効な方法です。読書は生活習慣のようなもので、中高生がある日突然、本好きになることはまずありません。また、本嫌いの子どもをつかまえて無理矢理に本を読ませようとしても、本嫌いを助長するだけです。読書は、子どもが小さい頃から、本に親しむ環境を心がけることが必要です。

 

私の教え子に、大変な読書家がいました。Eさんに、なぜそれほどまでに本が好きなのかを尋ねたところ、「1歳になった頃から母親が絵本の読み聞かせを行なっていたことが、本好きのルーツではないか」と説明してくれました。Eさんの母親は読み聞かせは知育にも良いという情報があったこと、そして何より母親自身が絵本が大好きであったことから、大変熱心に子どもに読み聞かせを行なっていたようです。

 

Eさんは2歳を過ぎておしゃべりが上手にできるようになった頃、母親の読み聞かせを10回ほど聞くと、その絵本の最初から最後まで暗唱することができました。両親は、もしかしたらこの子は優れているのではないか、と思ったそうです。もっとも、彼にその記憶はありませんが……。

 

小学4年生の頃、Eさんは自他ともに認める「本の虫」でした。学校の推薦図書や塾の教材で興味を持った本を読みまくっていたと言います。

 

当時、父親の職場の先輩の子どもが東大理科三類に合格しました。それを耳にした父親は、わが子の教育に何か役立つことはないかと合格の秘訣を聞いたところ、彼の息子が小中学生の頃は近隣の図書館へ父子で通い、1カ月に段ボール1箱分の本を読んだことを教えてくれました。さらに、題材は自分で選択し小説を書いてみるように息子を誘導し、その小説の感想を父親が述べることを継続していたそうです。

 

Eさんの家庭では、さすがにこの方法をまねることはしなかったそうですが、Eさんは本を読むことが好きでしたから、父親は「本を読むとすごい人になるぞ」というメッセージを送り続けたそうです。

 

※Eさんは1浪して横浜市立大医学部、昭和大医学部(特待生)、順天堂大医学部、慈恵大医学部に合格(GGO編集部注)。

 

小林 公夫
作家 医事法学者

 

 

わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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