アートセレブが集う一大観光産業…プロデュースビジネスの凄み

Appleのスティーブ・ジョブズが、文字のアートであるカリグラフィーをプロダクトに活かしていたことは有名だ。マーク・ザッカーバーグがCEOをつとめるFacebook本社オフィスはウォールアートで埋め尽くされている。こうしたシリコンバレーのイノベーターたちがアートをたしなんでいたことから、アートとビジネスの関係性はますます注目されているが、実際、アートとビジネスは、深いところで響き合っているという。ビジネスマンは現代アートとどう向き合っていけばいいのかを明らかにする。本連載は練馬区美術館の館長・秋元雄史著『アート思考』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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人が動き、ものが動く、文化による一大観光産業

プロデュースビジネス

 

アートセレブが集まる、二年に一度のもっとも濃密な機会となるのは、ヴェネチア・ビエンナーレの特別公開のために開かれるプレビューの数日間です。

 

ヴェニス市も熟知していて、ビエンナーレ開催前のこのタイミングが、ホテルもレストランも交通もすべてとんでもなく高い価格に設定されています。「足下を見やがって!」と恨みごとを言いたくなりますが、これがサービス業、観光業というものでしょう。一年のうちで稼ぎ時なのですから、仕方ありません。

 

アートセレブが集まるのはヴェネチア・ビエンナーレのプレビューの数日間だという。(※写真はイメージです/PIXTA)
アートセレブが集まるのはヴェネチア・ビエンナーレのプレビューの数日間だという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この期間中は連日パーティが開かれ、関係者同士のミーティング、食事会が開かれていて、面白いことにそこに参加するスーパースターのアーティストやアート関係者に会うために、リッチなセレブたちも集まってくるのです。自分たちもアートに関する最新の情報が欲しいのです。アートがまさに誕生する貴重な場面に自分もいたい、有名アーティストたちと時間と場所を共有したいということなのでしょう。

 

どんな場所であってもお金がかかりますが、それでも世界のアートセレブは、ヴェニスを目指してくる。そんな二年に一度の機会に、忙しい最中でも顔を出していたのが、アンカシェール美術財団(旧原美術館財団)前理事長の原俊夫やベネッセHD名誉顧問の福武總一郎や大林組会長の大林剛郎、森美術館理事長の森佳子たちでした。

 

日本からの常連は、現代アートのよき理解者のこのメンバーぐらいでした。ちなみに、ここで紹介した皆さんは、多くの来館者で賑わう現代アートの美術館を運営していたり、素晴らしいコレクションを持っていたりする方々です。

 

街を挙げてのこの一大イベントであるビエンナーレは、二年に一度開かれる現代アート部門だけではありません。

 

他部門になりますが、毎年開催されるのが映画、演劇で、美術同様、二年に一度の開催が、建築、音楽、舞踊です。こうなるとヴェニスでは、いつもどこかで国際的な文化の祭典が開催されていることになります。毎年、世界中からヴェニスを目指して、セレブたちが集まってくるため、街はいつでもどこでも大騒ぎで、人が動き、ものが動く、文化による一大観光産業です。

東京藝術大学大学美術館 館長、教授 練馬区立美術館 館長

1955年東京生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科卒業後、作家兼アートライターとして活動。

1991年に福武書店(現ベネッセコーポレーション)に入社、国吉康雄美術館の主任研究員を兼務しながら、のちに「ベネッセアートサイト直島」として知られるアートプロジェクトの主担当となる。

開館時の2004年より地中美術館館長/公益財団法人直島福武美術館財団常務理事に就任、ベネッセアートサイト直島・アーティスティックディレクターも兼務する。2006年に財団を退職。2007年、金沢21世紀美術館館長に就任。10年間務めたのち退職し、現職。

著者紹介

連載ビジネスエリートに欠かせない「現代アート」という教養

アート思考

アート思考

秋元 雄史

プレジデント社

世界の美術界においては、現代アートこそがメインストリームとなっている。グローバルに活躍するビジネスエリートに欠かせない教養と考えられている。 現代アートが提起する問題や描く世界観が、ビジネスエリートに求められ…

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