既存の調達マップを整備し、最新のルートを常に確認
新型コロナ危機では中国の工場、協力工場が最初に止まった。その時点で調達、生産調査部はすぐに調達マップを見て部品をつなぐことを始め、手を打つことができた。だが、近年、頻発する異常気象による自然災害ではいつどこが止まるかがわからない。
調達マップを整備してはあるのだが、それでも、不断の努力でそれを最新にしておかなくてはならない。
ただし、言うは易し、だ。
世界中にある数万社以上の協力工場が何を作っていて、何個、どこに納めているかを調べていたら、それこそいくら人手があっても足りない。この調達マップの整備と更新は製造業の危機管理では重要な点だけれど、同時に、いかに簡単に、いかに時間と人数をかけずに行うかが問われる。
河合も「そうだ」とうなずく。
「サプライヤーさんは1次、2次、3次、4次まである。今は完璧なマップですと言われても、僕はそんなわけはないといつも言うんだ。実際にあったことだけれど、ある部品は2社が作っているはずだったのが、元の元までたどってみたら、実は1社だけだったなんてことはあるんだよ。そうしたら、そこが被災したら、車は作れない。最後までたどって、複数のルートを作らないといけない。
調達マップの整備、新しくすること。これは危機管理の道案内マップみたいなものだ。それを見ながら、支援に行ったり、部品をつなぐわけだから」
自動車部品3万点のなかには特殊な技術でないと作れないものがある。部品を採用する段階から、代替部品はどこで入手できるかまで考慮に入れておくことが必要なのだ。
河合も「どんなことをしても調達マップが完成することはない」と言い切る。
「僕らは危機のたびにマップを見て、取引先が何を作っているかを確認する。この材料なら、万が一の場合はここがあるとか、確認しないと気が済まない。危機管理では何度も苦い経験を積み重ねている。ただ、今回の様子を見て、現場のみんなが教訓を生かす体質はできたとは思っている」