親の家の仕様から有効活用法を考えてみると…
親の家をマンションと一戸建てに大別し、それぞれ、立地、築年数をもとに、最適な有効活用方法を示したのが下記の図表1、図表2です。
[図表1]マンションの有効活用方法
[図表2]一戸建ての有効活用方法
立地を大都市、地方都市に、さらにそれぞれを都心(中心市街地)、郊外に4区分にしたのは、立地によって選択肢の数が大きく変わるためです。
築年数をマンションは、~築15年と築16年~の2区分にしました。理由は、~築15年であれば初期リフォームなしで「貸す」選択肢があることによるものです。
一戸建ては3区分としています。~築15年はマンション同様初期リフォームなしで「貸す」選択肢があることによるもの。築16~35年、築36年~に細かく分けたのは、築16~35年は中古住宅としての流通性は一般的にはありますが、築36年を超えると、場合によっては老朽化により土地にしか有効活用の道がない可能性があるからです。
マンションも一戸建ても主流は「売却」
これまで整理してきた親の家の概要をもとに、どの欄が当てはまるかを見極めましょう。そして○で表示されたところが、あなたの親の家にとって最適な有効活用方法です。ただしこの有効活用方法はあくまでひとつの目安として私が考えたものです。
●マンションも一戸建ても有効活用には「売る」のが主流
マンションの有効活用の方法は、「売る」が主流です。一戸建ての活用方法もやはり「売る」が主流です。ただし築36年以上の古い家については、「売る」にしても中古住宅としてではなく、古家付き土地あるいは更地で売ることも検討すべきでしょう。
●「貸す」という選択肢はよい立地に限られる
「貸す」という選択肢があるのは、マンションでは、大都市の都心徒歩圏、バス利用、郊外の徒歩圏、地方都市の中心市街地徒歩圏、バス利用、郊外の徒歩圏の物件でしょう。一戸建てでは、大都市の都心徒歩圏・バス利用圏、郊外の徒歩圏、地方都市の中心市街地・バス利用圏、郊外の徒歩圏の物件でしょう。一般的に賃貸住宅は駅からの距離が優先されます。マンションなら徒歩5分圏、一戸建てなら徒歩10~15分圏まで、というケースが多いようです。
また、大都市の都心徒歩圏を除き、初期のリフォームをしないで貸すことが前提となります。また、更地にしてコインパーキングにするなど、素人にもあまり手をかけずに用途を変更して貸すという方法もあります。こちらについてはSTEP3実践知識「貸す」でご説明します。
●「アパート・マンション経営」は都心の一等地
「アパート・マンション経営」の選択肢は唯一、大都市の都心徒歩圏にあるものに限られるでしょう。しかも狭小ではなく、アパートで50坪前後から、マンションで80坪前後からというように、ある程度まとまった規模の土地が求められるでしょう。
●「売る」「貸す」ができないなら持っておくしかない
売るに売れず、貸すに貸せない「持っているしかない」親の家もあります。大都市の郊外のバス利用の不便なところにある築16年以上の古い家は、若い子育て世帯が少なく、お荷物になる可能性があるのです。中古住宅は新築に比べ割安感のあることがメリットですが、築年数が古いと住宅ローンの融資額が少なく、買い手にとって資金計画がうまくいかずに買えないことが多々あります。地方都市では中心市街地であっても、バス利用で築16年以上の古い家は、やはりお荷物になる可能性があります。地方都市の郊外であれば徒歩圏なら築16年以上の古いものが、バス利用の農山漁村ともなれば、築年数にかかわらず、どのような家もお荷物になる確率が高くなります。
ところで複数の○が該当する方からは、最終的にどれを選べばいいの? という疑問の声が聞こえてきそうですね。また、該当するのは○ひとつだけれど、これを鵜呑みにしてもいいの? という不安の声もあがりそうですね。それでは、有効活用の方法を決断するための最後の押さえ、私の考えを参考までに次回述べさせていただきます。