コロナ感染拡大からはや1年。未曽有の大不況に陥った世界各国でしたが、ワクチン接種も広まり経済は動き出しつつあります。そんな折、多くの富裕層が懸念し始めていることが一点。「増税」です。株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏が解説します。

「お金持ちへの増税」はすでに始まっている…!

とはいえ、「政治家が財政再建を本気でやる場合、痛みを伴う、つまり選挙には悪影響の増税に手を出せるのか?」という問題があります。

 

<執筆者登壇> 4/21(水)無料WEBセミナー

コロナと相続で「モノ・カネ・家族」を失わない方法

 

所得税、法人税、消費税の増税は国民に痛みを伴うため政権与党が選挙で敗北する可能性が高いものの、相続税や贈与税に関しては違うでしょう。「資産家から税金を取る」ことであれば、「格差の是正」「お金持ちいじめ」という大義名分は国民の賛同を得やすいかもしれません。実際、日本の税務署では相続税を徴収する部署のことを「資産税課」と呼んでいます。

 

最近では、相続税がゼロのシンガポールでも政府が資産税の導入を検討していることが報じられていますし、アメリカでも同様の動きが見られます。コロナで広げた風呂敷をきちんと畳まなければいけないフェーズに来た今、お金持ちからの増税は最初に取り掛かりやすいわけです。

 

2020年の政府税制調査会では「格差の固定化」を阻むべく、贈与税にも何らかのメスを入れるべく検討を進めると明言されていますし、生命保険を使った富裕層向けの特殊な税金対策である低解約返戻金逓増(ていぞう)定期保険も今月フタをされることが報道されました。数年前、海外に移住することで相続税を逃れていた富裕層に対する移住期間が、5年から10年に延長されたことも記憶に新しいところです。

 

これらの「富裕層包囲網」は徐々にその網が絞られてきているのは明らかです。コロナによってさらにそのスピードがはやまるといったところでしょうか。

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