新型コロナの次の経済危機はなに?
新型コロナ感染拡大から、はや1年。次に世界が直面する問題は何でしょうか。通貨の信認や金融政策の正常化といった大事な問題もありますが、何といってもインフレだろうと筆者は考えています。
インフレとは物価が上昇し、お金の価値が減ることです。皆さんご存じのとおり、新型コロナ対策で、世界中の中央銀行と政府が金融緩和と財政出動のために未曽有のマネーを大量供給しています。
この規模が一体どれくらいかというと世界中で1,300兆円を超える規模(10月中旬時点)になります。特に日本は、政府債務残高(対GDP比)が突出して高い国です。
もちろん、日本の信用力や、国民の貯蓄は潤沢で、経常大幅黒字国ですので目先の心配はいらないでしょうが、第二次世界大戦時(政府債務は260%といわれています)の借入れを超えているという状況です[図表]。
今は脱デフレを志向すべきときですので、インフレの話はやや奇想天外に感じるかもしれません。実際、筆者も15年ほど前、英系プライベートバンクにいたときは、お客様がよくハイパーインフレや国家破綻、デノミネーション※の心配をされて、内心「そんなことは起きるはずがないだろう」とは思っていました。
※デノミネーション…通貨の呼称・計算単位を百分の一、千分の一などに切り替えること。使用されていた単位が強制的に切り捨てられることで市場における通貨量は減少し、インフレ終息につながると考えられている。
この手の悩みは「ひと財産」築いた人の共通の心配事だということは理解していました。とはいえ今回のコロナによって、当時とは世界の状況が変わってきたと感じています。
そして、心配性であるお金持ちたちはすでに動きだしています。