「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

名義に関係なく、支払った人の控除になる4種類

医療費控除、「給与収入1000万円のサラリーマン夫」と「株式売却益2000万円の専業主婦」どっちで申告すると得か?

 

正解:節税効果が高いのは、給与1000万円のサラリーマン夫

 

テーマは「所得控除」です。所得控除とは、一定の条件に当てはまると所得の合計金額から差し引かれるもので、たとえば配偶者を扶養する場合に使える「配偶者控除」などが該当します。

 

この所得控除のうち、「名義に関係なく、支払った人の控除になる」という種類のものが存在します。それがつぎの4つです。

 

①社会保険料控除
②生命保険料控除
③地震保険料控除
④医療費控除

 

所得控除のうち、「名義に関係なく、支払った人の控除になる」控除が4つあるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
所得控除のうち、「名義に関係なく、支払った人の控除になる」控除が4つあるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

これらの所得控除はそれぞれ、社会保険料、生命保険料、地震保険料、年間10万円を超える医療費を支払った場合に使える所得控除であり、確定申告をするときには、それぞれの支払額を示す証明書や領収書が必要です。

 

これらの書面には、誰かしらの名前が記載されています。たとえばAさんが病院にかかったのであれば、病院の領収書にはAさんの氏名が記されます。社会保険料も、たとえば夫が夫婦両方の国民年金保険料を支払ったとしても、発行される支払証明書は夫と妻、それぞれの名義で別々に発行されます。

 

確定申告をするときに覚えておきたいのは、「名義にとらわれなくてもいい」という点です。所得控除については、じっさいに支払った人の所得控除にできるというルールがあることを覚えておきましょう。

 

たとえば、1年間に支払った健康保険料や年金保険料などの社会保険料は、全額が社会保険料控除になります。そこで、夫の社会保険料が50万円、妻の社会保険料が10万円であったとしましょう。ここで名義のままで年末調整や確定申告をすれば、当然、夫の社会保険料控除は50万円、妻の社会保険料控除は10万円になります。

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