長生きすればするほど大変な「長生き地獄」
王様の湯で見た老姉妹
年々、夏の暑さが厳しくなり、この8月には、ついに東京も最高気温37度にのに、天気までもが追い打ちをかける。
自分の著書を宣伝するわけではないが、わたしたちの将来は、長生きすればするほど大変な『長生き地獄』(SB新書)になりそうだ。
37度と聞いただけで堪えかね、涼しくなる夕方まで露天風呂で過ごそうと、本を2冊持ち、近くにできた「おふろの王様」に出かけた。
こんな日は満員のはずだが、予想よりも人が少なく、いつもは立錐の余地もない人気の炭酸水風呂を試すことができたのは、ラッキーだった。
知らなかったが、このお風呂を目当てに、わざわざ遠くから来る人がいるそうだ。
確かにソーダ水の中にいるようで気持ちがいい。体にいいというが、何をもって体にいいというのか、わたしにはよくわからない。
「ああ、人は少ないし、極楽、極楽」
と悦に入っていると、二人のお婆さんが入ろうとしていた。
わたしも若い人から見たらお婆さんだが、二人とも80代と思われる。お友達同士? 仲がいいのね。羨ましい。それにしては会話がない。娘と母親? それにしては娘が年をとりすぎているし、二人とも年相応の膝の悪さだ。手すりを持ってもよろよろしている。若い方のお婆さんがサポート役のようだが、まったく助けになっていない。
どうしていいのか困った。一人なら手を貸すこともできるが、二人はくっついて団子状態になっている。
なんとか二人は、湯船に入れたが、自分の将来を二人に重ねてわたしは見ていた。
いくら仲良しでも、80代同士では支えあうことが難しい。