「ヒューマンエラー対策シート」を用いて、具体的なヒューマンエラー事例を紹介します。対策はあくまでも理論的な観点から例を示したもので、内容の妥当性についてはご容赦ください。事例をベースに対策案を思い付くことが第一の目的です。※本記事は、河野龍太郎氏の著書「医療現場のヒューマンエラー対策ブック」(日本能率協会マネジメントセンター)より抜粋・再編集したものです。
ヒューマンエラー事例をもとに「発想手順」を理解
ヒューマンエラー対策の発想手順を、4つの事例から具体的に紹介します。
この発想手順は分類が目的ではありません。発想手順の項目をベースとして、対策を思い付くことが第一の目的です。
したがって、この対策は11段階のどの項目に当てはまるのかという議論よりも、より具体的で実用的なエラー対策を思い付くことを常に念頭においていただきたいと思います。
今後は、このフォーマットを改良したり、あるいは、皆さんに自分たちのヒューマンエラー対策案を発想していただき、もし可能ならばどこかのホームページに事例としてプールできればよいと考えています。
もしそれが実現すれば、現場で何か対策を具体的に取らなければならないとき、そのデータベースを検索して類似した事例が見つかれば、それをヒントに自分たちの環境に適した具体的対策をとるためのヒントとなるでしょう。
河野 龍太郎
株式会社安全推進研究所 代表取締役所長
株式会社安全推進研究所 代表取締役所長
学校法人東京女子医科大学 理事長特別補佐(医療安全・危機管理担当)
日本人間工学認定人間工学専門家 博士(心理学)
自治医科大学 名誉教授
防衛大学校(航空要員、電気工学)を卒業し、航空局東京航空交通管制部で12年間、航空管制官として勤務。
航空機を衝突コースに誘導するというエラーを経験し、エラー防止を目的に心理学を専攻。
その後、東京電力(株)技術開発本部で原子力発電プラントのヒューマンファクターを研究。ある医療事故の関係者と出会い、医療が安全に関して極めて問題の多いことを認識。
医療安全の問題に本格的に取り組むため、2007年に自治医科大学医学部メディカルシミュレーションセンターに勤務(センター長、医療安全学教授)。
一貫して航空、原子力、医療、交通、製造システムなどのリスク管理および事故におけるヒューマンファクターの問題を研究し続けている。
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連載人間の行動メカニズムから理解!医療現場のヒューマンエラー対策