資産形成の重要性がいわれているなか、「NISAで投資を始めよう!」と目にする機会は多く、なかには「やらなきゃ損する」と焦っている人も。しかし、実際にどれだけの人が活用しているのでしょう。公表されている統計などから「NISA」の現状について見ていきます。

どれくらいの人が「NISA口座」を持っているのか?

NISAの口座数は順調に伸びています。金融庁によると、2020年12月現在、一般NISAの口座数は1221万1468口座で、買付額は21兆3337億1270万円。つみたてNISAの口座数は302万8259口座で、買付額は6878億1691万円。半年前と比較して、一般NISAは200万口座、1兆8000億円強、つみたてNISAは58万口座、2300億円強ほど増えています。

 

コロナ禍で先行きが不安定なか、投資欲は拡大。それによりNISAの利用者も急増しています。そんな個人の投資を後押しするNISAですが、どれくらいの人が活用しているのでしょう。

 

総務省の『人口推計』と国税庁の発表から各年代の一般NISA口座の保有率は推計してみると、60代が最も保有率が高く、15.64%。年金世代の資産運用で活用されている一方で、20代では3%と低水準となっています。

 

[年代別一般NISA口座保有率]

20代 3.10%
30代 6.83%
40代 9.85%
50代 12.81%
60代 15.64%
70代 7.86%

 

また金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』によると、「一般NISA」の保有額は、60代が最も多く235万円、「つみたてNISA」も同様で、保有額は43万円。

 

[一般NISA保有額]

20代 78万円
30代 110万円
40代 185万円
50代 187万円
60代 235万円

 

[つみたてNISA保有額]

20代 31万円
30代 33万円
40代 26万円
50代 39万円
60代 43万円

 

こうしてみていくと、政府主導で大規模な広報がされているNISAですが、長期的な資産形成を考えるべき現役世代では、まだまだ活用されていない現状が見えてきました。

 

では現役世代、特に若い人に危機意識はないのか、といえばそうではなく、同じく『家計の金融行動に関する世論調査』で「老後の生活に対する考え方」を見ていくと、20代から50代まで、すべての年代で「心配である」が8割を超えています。

 

また老後を心配する理由として、「十分な金融資産がないから」が20代で68.0%、30代が74.5%、40代が78.1%、50代が78.4%、「年金や保険が十分ではないから」が、20代で46.6%、30代が47.2%、40代が50.9%、50代が53.9%と、定年が近づくにつれて不安が拡大していくのが見てとれますが、若年層でも危機意識は高いといえる数値です。

 

まだ収入の低い20代、教育費や住居費などで支出が拡大する30代……そもそも投資する資金がない、という人も多いでしょう。ただ給与減、賞与なしなど、厳しい状況だからこそ、早め早めの資産形成が重要です。有利な制度も活用して、賢く資産を増やしていきたいものです。

 

 

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