「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

不動産の減価償却費は節税メリットが少なくない

ということは、もしこの物件を1000万円で購入した場合、定額法で計算すると毎年250万円ずつ必要経費にできるということです。

 

ただし、これはあくまで税金面のことだけで比較した場合です。購入する物件の場所や、設備などで家賃や入居率が変わりますから、あくまでも賃貸物件を買うときの一要素として税金のことも考えてください。

 

ちなみに、不動産の減価償却費は、うまく使えば節税メリットが少なくありません。というのも、減価償却費は、じっさいに手元からお金が出ていなくても必要経費にすることができるものだからです。

 

たとえば、1200万円のローンを10年間で組んで耐用年数4年の賃貸不動産を買った場合を考えてみてください。そうすると、ざっくり計算すると、年間120万円のローンの支払いになります。そして減価償却費は1200万円÷4年=年間300万円です。

 

このように、手元から出るお金よりも必要経費が多くなるので、キャッシュを確保しながらも節税効果を期待することができます。

 

不動産賃貸をはじめるときには、修繕費などのコストに加えて、減価償却費や税金のしくみを理解しておくことが大切です。難しいパズルのように思われるかもしれませんが、慣れるとひとりでシミュレーションできるようになりますので、不動産賃貸に興味がある方は考えてみてください。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年2月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

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小林 義崇

河出書房新社

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