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「えっ、1日中家にいて何してたの?」夫の放った一言に妻は…

産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、パートナーのサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。東野産婦人科院長の東野純彦氏が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。

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「子どもはお母さんが好きに決まっている」?

もしかすると「家事は自分たち男にもできるけど、やっぱり育児は母親主体じゃないと」「どんなに男がヤル気を出しても、やっぱり子どもはお母さんが好きに決まっている」といった考えを払拭できない男性も多いかもしれません。

 

そう思ってしまうのは「子どもが3歳になるまで、母親は子育てに専念すべき。そうでないと子どもの成長に悪影響を与える」といった「3歳児神話」が根づいているからでしょう。確かに現在もこの「3歳児神話」を肯定し、子どもの情緒を育てるには母親の存在が欠かせないと提唱する児童心理学者もいます。

 

(※写真はイメージです/)
(※写真はイメージです/)

 

しかし私は、決してそんなことはないと考えます。事実、さまざまな研究現場で「3歳児神話」を否定する論文が取り上げられているのです。その一つが1999年に発表された、アメリカのナショナル・ロンディツードゥナルサーベー・オブ・ユースという研究グループによるもの。

 

彼らは、子どもが乳児期の間に母親が早期就労復帰をした場合、子どもの問題行動の発達に影響するかについて、研究しました。サンプリングに使われたのは、1万2600名の14〜22歳までの女性たち。彼女たちから生まれた子ども2095名を12歳まで追跡し、12歳までの多感な時期において、子どもに問題行動が出たかどうかを測定したのです。その結果、母親の早期就労と問題行動はリンクしていないことが分かりました。

 

最近は共働きがスタンダードになり、1歳になる前から子どもを保育園に預ける母親が多くいます。しかし、「そんな小さなうちからお母さんと離ればなれになるなんてかわいそう」「働くよりも子どもと過ごす時間のほうが大切」などと言う人もいます。一昔前は「24時間365日、母親が育児をする」という考えが当たり前だったからです。子どもにとって母親はかけがえのない存在であり「小さいうちは絶対に一緒にいないといけない」と言われた世代だったのです。

 

しかし、母親のもとを離れて保育園に預けられた子どもは、その間ほかの大人や同世代の子どもと触れ合う機会が増えるなかで、たくさんの刺激を受けることができます。集団行動も早くから身につくため「情緒が育たない」と一概に言い切れるとは思いません。

 

もちろん母親が「私は3歳まで子どもと一緒にいたい」と望むなら、尊重すべきです。正しい選択は各家庭によって異なります。しかし「3歳児神話」という幻想で女性を縛りつけるのは極力やめてほしいのです。もしも妻が「子どもが6カ月になったらすぐにでも働きに出たい」と望むなら、その希望は否定するのではなく、夫婦でしっかり話し合って決めていってください。

子どもを「新入社員」に例えてみると…

私は「だから保育園に頼ればすべて解決ですよ」と言いたいわけではありません。もちろん頼れるサービスは積極的に使うべきですが、外部に委託するから夫はノータッチでいいということでは決してないのです。

 

では、家事を積極的にこなす以外に夫ができることは何か。家事と同じく、ただ闇雲に関わろうとしても空回りするのは目に見えています。まずは育児がどれほど大変なのか、知ることから始めましょう。

 

日中、男性は仕事で外に出ているため、育児の大変さにはなかなか気づきにくいものです。そのため、仕事から帰ってきて片付いていない部屋を見ると「なんでこんなに散らかっているの? 1日中家にいて、何をしていたの?」なんて言葉が、平然と出てしまいます。

 

しかし想像してください。あなたの職場に新入社員が入ってきたとします。その新人は、あなたが時間をかけて整理した仕事の書類を片っ端から破いたり、バラバラにまき散らしたりします。あなたが限られた時間のなかで仕事をしようとした途端に「おなかが空いたからごはんが食べたい」「つまらないから外に行きたい」と駄々をこねだします。

 

そしてようやく新人が落ち着きを取り戻し、いざ自分の仕事を再開しようと思ったら周りから「えっ? まだその仕事終わってなかったの? 1日何してたの?」「新人が邪魔をしたって……。その新人の指導をするのがあなたの仕事でしょ?」と言われてしまうのです。

 

そんなモンスターのような新入社員が職場にいたらたまりません。しかし、あなたが仕事で不在にしている間、家のなかでは同じようなことが毎日起こっているのです。

 

 

東野 純彦

東野産婦人科院長

 

東野産婦人科院長 

東野産婦人科院長
1983年久留米大学医学部卒業後、九州大学産婦人科教室入局。1990年国立福岡中央病院に勤務後、東野産婦人科副院長に就任。その後、麻酔科新生児科研修を行う。1995年同院長に就任。東野産婦人科では“女性の一生に寄り添う。これまでも、これからもずっと。"をテーマに、妊娠・出産・育児にかかわらず、思春期から熟年期、老年期まで女性の生涯にわたるトータルケアを目指す。お産については家庭出産と医療施設の安全管理の長所を活かした自然分娩を提唱。フリースタイル分娩、アクティブバースの推進など、母親の希望の出産に合わせてサポートしている。また、赤ちゃんとの関わり方が分からない父親のための「赤ちゃんサロン~パパ&ベビークラス」や、育児における父親の役割を学ぶための「父親教室」なども開催。子育てに取り組む夫婦にしっかり寄り添うクリニックとして定評がある。

著者紹介

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本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

知っておくべき産後の妻のこと

知っておくべき産後の妻のこと

東野 純彦

幻冬舎MC

知らなかったではすまされない「産後クライシス」―― 産後の妻の変化、訪れる最大の離婚危機…… カギを握るのは夫の行動!? 女性の生涯に寄り添ってきた産婦人科医が伝授する夫婦円満の秘訣とは

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