知らない人が多いからだまし続ける予備校が多い…
そのことを知っている消費者は、もちろん多くありません。もしかしたらあなたも、もう後戻りできないと信じ込まされているだけかもしれないわけです。場合によっては、内容証明郵便などを送りつけるか、弁護士に相談して告訴も辞さないという態度を取ることをお勧めします。
一例を挙げましょう。ある医学部予備校から、私のところに駆け込んできた生徒の実例です。よくよく事情を聞いてみると、最初、そこの英語の先生が気に入って入学したのに、夏くらいになってから、その先生は忙しいという理由で代わりに大学生が教えにきたというのです。怒った親が「最初に払ったお金を全部返してください」と、何回も掛け合いに行ったようですが、ダメでした。
学費に関しては、まず「均等でいいですか?」などと聞いてみるのがいいでしょう。それでOKするところが真っ当な予備校だと考えてください。
「一流講師陣」という触れ込みの裏にある実際
ところで、契約内容不履行にはどんなケースがあるでしょうか。典型的なのはやはり講師の質です。予備校講師の質は、それこそピンキリです。カリスマ講師や神業の講師と呼んで間違いないような講師も確かにいます。しかし、各校が看板にするそうした講師は、当然、多くはありません。
ですから、「入学すればこの先生に習える」という口上は嘘になる可能性が高いのです。「一流講師陣体制」も、ほとんど嘘です。一流講師が一人もいないとは言いませんが、若干名でしょう。また、必ずしもその人に習えるとは限りません。一流に習えなければ、あとは二流です。二流でもプロならまだましです。実際には大学院生か、ひどい場合は大学生が講師を務めることになるのです。
そういう予備校は、完全に営利主義です。もちろん、そうしたケースでは時給も非常に安く収まっています。やはり1000円ぐらいでしょうか。それで生徒からは1万円は取ります。利幅9000円です。これは明らかな暴利です。
生徒の親が医学部専門予備校に払う金額は、1年でだいたい400万円、ある医学部専門予備校では2000万円にもなることは、業界で知らない人はいません。知らぬは(医者の)親ばかり。だから、生徒が少数でも経営が成り立つのです。仮に2000万円の生徒が10人いれば、それだけで2億円の売上になります。ちなみに私のところは平均400万円で、40人在籍してやっと1億6000万円です。このくらいがちょうどいいのです。すべての学生に目が届きます。
では講師の値段はいくらでしょうか。もちろん、カリスマと呼ばれるほどの講師であれば、時給2万円で年収2000万円も取る人もいます。しかし、繰り返しますが、そうした講師はほんの一握りです。300人の講師がいたとして、10人もいません。
知っておくべきことは、ここなのです。講師の値段はその価値と正比例しますから、本当に価値のある講師は、30分の1しかその学校に存在しないということです。あとは計算の問題です。30時間の授業を受けるとして、その中に、そうした講師の授業が1時間あるかどうかなわけです。
商売としては、講師の値段は当然、安いほうがいい。どんな講師であっても、生徒から取る金額は同じだからです。大学院生や大学生の講師が増える理由もそこにあります。
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