自分の代の「負の遺産や土地の境界線トラブル」これらは自分の代で解決するか、存在を伝えておかないと相続人が不利な立場に陥ってしまいます。その理由と対処法を税理士の大久保栄吾氏が解説します。

「もらって困るもの」は事前の相続対策が必要

親しか知らない「事情」として、親が負の財産を持っている場合もあります。相続では正の財産を引き継ぐのと同時に、負の財産も引き継ぐことになります。預貯金や収益性のある不動産、貴金属、ゴルフ会員権など「もらってありがたいもの」ばかりならいいですが、ローンや借入金、利益の上がらない不動産など「もらって困るもの」を親しか知らない場合は多いのです。

 

相続財産については、図表の一覧を参考にしてください。ローンや借入金であれば金融機関からの通知がくるので子も気づきやすいですが、気づきにくいのは借金の保証人・連帯保証人になっている場合です。親もなりたくてなっていることは少なく、あえて言いたがりません。それこそ返済義務が生じでもしないかぎりなかなか表には出てきませんが、これは保証債務と呼ばれるもので、知っておかなければならない大事な債務です。

 

[図表]
[図表]

 

連帯保証人になっていると、本人だけでなくその債務は相続人にも及びます。相続時には親の債務を確認するのはもちろん、相続とは別に自分たちもどんな理由があっても連帯保証人にはならないでください。

 

相続の手続きもすべて完了し、相続のことも忘れかけた頃になって、実は親が連帯保証人になっていて返済義務が生じていたことを後から知ったとなれば、その日から配偶者や子はどうなるでしょう? 今さら相続放棄もできず、借金の取り立てに苦しむことになってしまいます。

 

負の財産があるならあるで、子にも心の準備があります。負の財産をこしらえてしまった理由や経緯が納得いくものであれば、前向きに対処法を考えることもできます。たしかに言い出しにくいことではありますが、親には負の財産についても正直に打ち明けてもらわねばなりません。

 

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相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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