自分の代の「負の遺産や土地の境界線トラブル」これらは自分の代で解決するか、存在を伝えておかないと相続人が不利な立場に陥ってしまいます。その理由と対処法を税理士の大久保栄吾氏が解説します。

「土地の境界問題」は所有者が存命中に解決すべき

資産の話をする中で、子が気に留めておきたいことについて紹介します。子には分からない親のさまざまな「事情」についてです。親にしか分からない「事情」というのが多かれ少なかれどの家庭でも出てきます。子があらかじめ知っているのと、相続発生後に初めて知るのとでは、事態の受け止め方やその後の対処法が違ってきます。

 

たとえば、親にしか分からない事情で相続に大きく関わる一例として、土地の境界をめぐる問題があります。代々受け継いできた土地や昔に買った土地などは、「この木から手前がうちの土地、奥が隣の土地」というアバウトな決め方をしていたり、「確かおじいちゃんが隣と話し合って、ここまでと言っていたと思うけど?」などと境界がはっきりしないことが多々あります。

 

正確な土地の境界が分からなければ土地の評価額も出せないし、分割することも売却することも、相続税として物納することもできないということです。それが相続発生後に分かったら、どうでしょうか? 

 

当然、隣の土地の所有者と協議することになりますが、こちらとしては相続税納付の期限までに早く決着をつけたいため、落ちついた話し合いが難しくなります。隣の言い分を十分に聞けなかったり、強引に境界を決めにかかったりして遺恨となる場合もあります。今後もそこに住み続けるのに、隣と仲が悪いというのは大変居心地の悪いことです。

 

土地の境界問題がある場合は、先延ばしにしないで土地の所有者同士が存命のうちに解決し、正式な書類に残しておくべきです。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

仮に境界の決着がつかないまま相続が発生しても、その経緯を相続人であるあなたが知っていれば、親の遺志を継いで話し合いを継続することができます。

 

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大久保 栄吾

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