株式投資において現物取引と信用取引が存在しています。今回は信用取引で生じるメリットとリスクついて解説していきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

信用買い…「レバレッジを効かせる」とは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

証券会社によって若干異なりますが、信用買いでは多くの場合、差し入れる委託保証金の最大約3.3倍までの金額を用いて、株式を購入することができます。

 

なお、手持ち資金以上の取引が可能であることから、その行為を「レバレッジ(=てこの作用)を効かせる」などともいいます。

 

以下に、現物取引と信用取引(例としてレバレッジ3倍)のリターンの違いを示します。

 

 

手持ちが同じ100万円で株価上昇率が同じく20%であるにも関わらず、現物取引は20万円のリターン、信用取引では60万円のリターンと、利益は3倍違ってくるのです。

 

このように、信用買いには「手持ち資金だけでは実現できない大きなリターンを望める」というメリットがあります。

信用売り(空売り)の仕組み

次に、「空売り」とも呼ばれる信用売りの仕組みをみていきましょう。以下の例をご覧ください。なお、空売りの特徴を鮮明にするため、ここではレバレッジなし(1倍)の取引を想定しています。

 

①1株2000円のA社株1000株を借りる

②A社株は値下がりすると予想し、1000株を1株2000円でそのまま売却し、200万円の現金を手にする

③予想通りA社株は値下がりし、150万円で1株1500円×1000株を買い戻し、株を返却する

④差額が50万円生まれ、それが利益となる

 

この空売りの最大の特徴は、「株価が下がる局面で利益を得られる」ことでしょう。普通は株価の下落局面では利益を出すことができませんが、空売りではそれが可能となるのです。そしてそれゆえに、現物買い(信用取引でない普通の買い)と空売り(信用売り)を組み合わせて、それぞれのリスクを抑制するという戦略をとることも可能です。また、信用買いの例と同じく、レバレッジを効かせてリターンを大きくすることも可能です。

 

なお余談ですが、1984年に発生したグリコ・森永事件において、犯人は標的とした会社の株を空売りして儲けていたのではないか、という話があります。それが本当かどうかはわかりませんが、確かに、株を借りて売り、事件を起こして株価を下げてそれを買い戻せば、利益が得られるのです。

 

グリコ・森永事件

江崎グリコ社長の誘拐、青酸入り菓子の配布などが行われた、1984年から関西で発生した複数食品会社への一連の脅迫事件

 

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