株価は予想不可能な様々な要因によって常に上下し、多くの株式投資家はその変動に一喜一憂しています。今回は、株価の急騰・急落に落ち着いて対処する方法を中心に見ていきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

その株の妥当な価格を計算する…投資の本質

世界一の投資家とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏は自社の株主への手紙のなかで、以下のように述べています。

 

「バリュー投資」という言葉は重言になっています。「投資」が、少なくとも支払った金額に見合った価値を求めた結果の行為でないとすれば、一体何なのでしょうか

(ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙 第4版』より)

 

一般的に、PERやPBRや配当利回りなどから判断して、value(価値)よりもprice(価格)が割安な株に投資する手法を、バリュー投資と呼びます。

 

しかしバフェット氏は、バリュー投資という言葉は重言だといいます。投資とは、価格以上の価値を求める行為であるから、わざわざ「バリュー」をつけることなどない、と述べているのです。

 

ここに、投資の本質があるのではないでしょうか。

 

つまり投資家は、気まぐれな市場が決める「株価」を一旦脇に置いておき、その企業の「価値」を自分なりに見出すべきなのです。

 

そして価値に見合った妥当な価格を計算し、株価がそれ以下のときに初めて「投資」という行為が成立すると、彼は述べているのです。そしてそれゆえに、わざわざ「バリュー」という言葉をつける必要はない、というわけです。

「値幅」を自分で決める…投資の安全性上昇に繋がる

しかしバフェット氏は前述の引用文の直後で、PERやPBRや配当利回りなどからその企業の価値を単純に判断することを否定しています。また逆にその直前では、「成長性」は価値の計算に必要な変数だ、とも述べています。

 

つまり、企業の価値計算というのはそう単純なものではなく、様々な要因を考慮するべきだと述べているのです。

 

確かに、個人や機関が算出している「理論株価」というのも、当てにならないものです。同じ銘柄でも、当たり前のように複数の理論株価が存在しています。しかし、計算方法もそれぞれ違うでしょうし、計算に用いる数値も、「将来にわたって得られるキャッシュフローの合計」など予想困難な値が利用される場合がほとんどですから、やはり価値の算出というのは、一筋縄ではいかない行為なのでしょう。

 

では、そんな複雑で難しい企業の価値評価は、現実的にはどのように行うべきなのでしょうか。

 

ここで再び、バフェット氏の言葉を引用してみたいと思います。

 

価値が八三〇〇万ドルの事業を八〇〇〇万ドルで買おうとしてはいけません。大きな余裕を見ることが肝要なのです。

(桑原晃弥『ウォーレン・バフェット成功の名語録 世界が尊敬する実業家、103の言葉』より)

 

要するに、妥当な株価を計算しつつも、それが正確ではないということも認め、それよりも大きく割安であると判断したときに投資をすればよいのです。

 

株価が価値と比べて安ければ安いほど、その後に下がる確率は低く、上がる確率が高くなります。そんな「安全域」を保ちながら投資をすることは、彼が師であるグレアム氏から学び重視し続けていることなのです。

 

そして、株価は予想不可能な様々な要因によって常に上下もしています。ですから、妥当な株価とともに、それに応じた値幅も常に存在するといえます。

 

したがって、計算した妥当な株価が正確でないことを認めるとともに、予想不可能な要因で株価が上下することも考慮して、それに応じた値幅を自分で決めておくことで、その投資の安全性を高めることができるのです。

 

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