信用取引のリスク
もっとも、信用取引にはそれらのメリットの反面として、現物取引以上のリスクがあることもまた事実です。
たとえば信用買いで、株価が下落してしまったときのことを考えてみましょう。先ほど挙げた例で、同率だけ株価が下落したとすると、以下のようになります。
このように、同じ手持ち資金で同じ株価下落率の取引でも、損失は3倍になってしまうのです。
また空売りの場合も、株価が上昇してしまうと以下のような仕組みで損失が発生します。
②A社株は値下がりしていくと予想し、1000株を1株2000円でそのまま売却し、200万円の現金を手にする
③予想に反してA社株は値上がりし、250万円で1株2500円×1000株を買い戻し、株を返却する
④差額が50万円生まれ、それが損失となる
この例も先ほどの空売りの例と同じくレバレッジなし(1倍)の取引ですが、信用買いのときと同じく、効かせたレバレッジの大きさに比例して損失も大きくなります。
さらに、株価は理論的に、いくら下がってもゼロが下限ですが、上がるときは果てしなく上がるといえます。したがって、株価が上昇すると損をする空売りには、その分の大きなリスクがひそんでいると考えることもできます。
加えて、信用取引では買いの場合も売りの場合も、現物取引にはない様々な費用が発生します。現物取引でも必要な売買手数料の他に、株式委託手数料、金利、貸株料、名義書き換え料などが発生するのです。
そしてそれらの費用は、株価の上下や利益・損失の有無に関わらず、100%発生する費用です。ですからそれも、信用取引のリスクの1つだと考えておくべきでしょう。要するに、「借金をして自分の手持ち資金以上の取引をしようとすれば、余分なお金がかかる」ということなのです。
■まとめ
信用取引は「リスク管理」が最重要
信用取引は、信用買いと信用売り(空売り)に分けることができ、信用買いには「手持ち資金だけでは実現できない大きなリターンを望める」、信用売りには「株価が下がる局面で利益を得られる」というメリットが主にあります。
しかし、株価が予想に反する動きをした場合の損失が大きくなる、現物取引にはない様々な費用が発生する、といったそれ相応のリスクも存在します。ですから信用取引を行う場合は、リスク管理が最重要だといえるのではないでしょうか。
そうすれば、値幅制限を超えるストップ高やストップ安が起きても、慌てずに対処することができるでしょう
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