不動産投資に関心がある方ならきっとご存じの「競売物件」というジャンル。市場価格よりおトクに購入できるとされていますが、いい物件を手に入れるにはなかなか大変です。掘り出し物件の見つけ方、入札方法、落札後のスケジュールなど、物件引き渡しまでのフローを解説します。

競売物件の購入は「すべてが自己責任」と心せよ

 

競売物件とは、住宅ローンの返済遅滞などの理由により、競売にかけられる土地や住宅のことをいます。通常の不動産の価格よりも割安ですが、購入の際には注意すべきポイントも多くあります。

 

まずは、競売不動産がどのような経緯で売りに出されるのかについて説明しましょう。

 

競売に至るには2つのパターンがあります。その1つは「担保不動産競売(事件番号(ケ))」で、債務者のローン支払いが滞ったため、債権者(金融機関や債権回収会社)が競売の申し立てをするものです。区分マンションや一棟アパートなどの投資用不動産が多く、債務者が居住していないので引き渡しは比較的スムーズです。

 

もう1つは、民事訴訟(交通事故の損害賠償など)の判決に基づく「強制競売(事件番号(ヌ))」です。裁判に敗訴した被告(債務者)の所有不動産(自宅)を賠償金に充てるため強制的に競売にかけるもので、引き渡し後も債務者が居座り続けるなど厄介な物件が少なくありません。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

競売不動産は、一般的な不動産売買を規定する「宅地建物取引業法(以下、宅建業法)」ではなく、「民事執行法」に基づいて取り引きされます。宅建業法は一般消費者を守るための法律ですが、民事執行法は債権者を守るための法律です。落札者に対しては「重要事項説明」の義務も、アフターサポートもないことを知っておきましょう。

 

そのため、入札前の物件調査から引き渡し後の占有者の退去交渉、建物の修理まですべて落札者が自己責任で行うことになります。

 

【競売不動産購入のハードルは4つ】

 ①建物の内見ができない

 ②建物・設備の不具合があっても直してもらえない

 ③ローンが通りにくい

 ④占有者と退去交渉をしなくてはならない

 

競売不動産の取引では、入札前に対象不動産の室内を見ることができないうえ、債務者は瑕疵担保責任を免れているため、引き渡し後に見つけた建物の不具合は、落札者が自費で直さなくてはなりません。また、多くの金融機関が競売物件への融資を嫌厭するため、全額自己資金で支払える財力も必要です。

 

そしてもっとも厄介なのが、引き渡し後もその建物に債務者が住み続け出ていかない場合の退去交渉です。事件番号(ケ)の競売物件で運よく空室だった場合なら、そういった苦労はありませんが、事件番号(ヌ)の場合はその可能性が高いです。

 

 

次ページ「競売不動産」購入フロー…7つのステップ

※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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