不動産投資に関心がある方ならきっとご存じの「競売物件」というジャンル。市場価格よりおトクに購入できるとされていますが、いい物件を手に入れるにはなかなか大変です。掘り出し物件の見つけ方、入札方法、落札後のスケジュールなど、物件引き渡しまでのフローを解説します。

「競売不動産」の購入フロー…7つのステップ

 

債権者による競売申し立てが地方裁判所で受理されると、対象不動産の調査が行われます。調査が終わり、入札期日が確定すると、所轄都道府県の「民事執行センター」に公告書が掲示され、いよいよ競売のスタートです。

 

 ①「3点セット」を入手する 

 

民事執行センターで公開される競売物件の資料は「3点セット」と呼ばれています。

 

これは、裁判官(執行官)が現地で調査を行った「現況調査報告書」と、不動産鑑定士が建物の状態や周辺環境から適正価格を査定し、対象不動産の現況写真・建物図面を添えた「評価書」、対象不動産の所在地や面積等が明示された「物件明細書」の3種の資料のセットです。

 

建物の内見はできませんが、これらの資料を見ればおおむねの現況把握ができます。評価書にある室内写真を見れば部屋の使用状況が分かりますし、現況調査報告書に記載されている債務者への聴取内容からは、引き渡し後に居座る可能性があるかどうか推測できます。

 

3点セットは、債務者の個人情報を伏せた形でネットでも公開されており、データはダウンロード可能です。

 

 ②「入札セット」を入手する 

 

「これは」と思える物件を見つけたら、入札の準備に入りましょう。入札に必要な書類や封筒(入札セット)は民事執行センターで入手できます。

 

【入札セットの内訳】

 ★入札書

 ★入札用封筒

 ★裁判所保管金振込依頼書

 ★入札保証金振込証明書

 ★暴力団員等に該当しない旨の陳述書

 

入札(買受けの申出)の際は、一般の不動産売買契約でいう「手付金」に当たる「保証」を提供しなければなりません。

 

保証の金額は物件ごとに異なりますが、公告書に記載されている「売却基準価額」の20%が目安となります。これを裁判所指定の預金口座へ振り込み、裁判所保管金振込依頼書の2枚目にある保管金受入手続添付書を入札保証金振込証明書に貼り付けて、入札書と暴力団員等に該当しない旨の陳述書、そして住民票とともに入札用封筒に入れて、担当執行官宛に郵送します。

 

 ③開札 

 

開札は、入札期間満了後1週間以内に行われます。開札期日、執行官が入札者から寄せられた封筒を一斉に開け、その中で一番高い金額で入札した人が「最高価買受申出人(以下、落札者)」となります。落札者の保証(手付金)はそのまま裁判所預かりとなり、その他の入札者の保証は返還されます。

 

 ④売却許可決定 

 

開札後、裁判所はこの落札者に不動産を売却していいかどうかを検討する審議に入ります(約1週間)。入札書類に虚偽があったり、実際は支払能力がないなどの理由から売却が許可されないケースも稀にあります。

 

 ⑤代金の納付 

 

落札者に問題がなく売却が確定したら、次は代金の支払いです。指定された代金納付期限(確定から1ヵ月以内)までに振り込むか、裁判所に直接現金で持参するかのいずれかの方法で納付します。代金の納付により、落札者はめでたく不動産の所有権を得ることになり、債務者から落札者への所有権移転手続きが開始されます。

 

 ⑥引き渡し交渉 

 

所有権移転手続きが済んだあとも、することはまだあります。

 

もし落札した不動産に占有者(債務者等)が居座っている場合、退去してもらうための話し合いをする必要があります。この交渉は裁判所ではなく、落札者が自ら行わなくてはいけません。占有者が交渉に応じなければ、裁判所に引き渡しを命じる訴え(引き渡し命令)を起こし、これが確定すれば強制執行(占有者の追い出し)が行われます。

 

 ⑦登記識別情報の取得と物件引き渡し 

 

所有権の移転手続きが終了すると、落札者の元に登記識別情報(謄本)が届きます。できればそれまでに占有者との話し合いがついて、物件の引き渡しが完了していると理想的です。

 

 

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※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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