日本の成熟した株式市場では株価は上がらないか?
成熟し切った株はよほど業容が変わらない限り、本格的に上昇することはありません。それは企業の成長、ビジネスの寿命といった話と関係します。
企業は創業してから、基盤固めを終えてビジネスが軌道に乗れば、面白いように利益が伸びていく時期があります。それが今までにない新しいビジネスで、世の中にどんどん普及していくものであれば、なおのこと伸びていきます。
たとえば、インターネットが初めて登場したとき、それに関係するIT関連のビジネスは日を追うごとに広がり、最初はベンチャー企業だったのが、いくつもの企業が大企業に変貌を遂げました。
こうした企業、ビジネスが広がっているうちは、株式市場では成長株として買われます。ところが、サービスや商品が行きわたり、そのビジネスの市場が伸びなくなったらどうなるでしょう。横ばいならまだしも、商品やサービスが必要でなくなったら、売上高と利益が減っていくので、成長していたときのように、もはや株価が上がることはありません。
そう、今成長している企業はやがて成熟していくのです。
もちろん、技術革新で新たな需要を作り出す企業や、国内だけでビジネスをしていたのが海外進出によって活路を見いだす企業もあり、成長を続けるケースも少なくありません。
しかし、成熟したまま、将来的に大きな成長が見込めない企業が多いのも事実です。
人口が増えている状態であれば、商品やサービスを買う人は自然に増えるので、なだらかであっても成長は見込めます。しかし、今の日本は少子高齢化が急速に進み人口が減っていきます。海外に活路を見いだす、あるいは新しいビジネスを展開しない限り、需要の拡大は見込めません。株価は将来の利益成長を先取りして上昇していくので、そうなると、上がる株が少なくなります。
そうしたことから、日本の株式市場を見てみると、成長が期待できない企業が多く上場しているという意味で、すでに熟成していると言っていいかもしれません。つまり、下がる株が多いと判断することができるのです。
たとえば、どんな株かと言えば、人口が減っているのにもかかわらず、日本にだけしがみついているような企業。海外展開をしていない流通業やメーカーなどは厳しいかもしれません。
一方、技術革新や海外への積極展開など構造改革を行っている企業は、株が上がる余地が大きいと見ることができ、カラ売りを仕掛ける場面が相対的に少ないでしょう。どんな株が下がりやすいのか具体的なことは後述します。