日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「子どもを私立大学に通わせるなら」を考えていきます。

学費、1500万円を払えるのか?

このような巨額な費用を払えるのか、といえば、多くの家庭で“NO”でしょう。実際、前出の『平成30年度学生生活調査』によると、「家庭からの給付のみでは修学に不自由」が大学の区分限らずで15~16%、「家庭からの給付のみでは修学継続困難」が11~14%。奨学金やアルバイトをしてもらい、やっと大学に通ってもらっている、それが多数派です(図表3)

 

出所:独立法人日本学生支援機構『平成30年度学生生活調査』
[図表3]家庭からの給付のみで大学に通えるか 出所:独立法人日本学生支援機構『平成30年度学生生活調査』

 

また実際に大学生を子どものに持つ家庭とはどのような家庭なのか。同調査の結果をさらに見ていきます。

 

国立、公立、私立別に家庭の年間収入ごとに見ていくと、国立大学に通う学生の世帯年収で最も多いのが「年収800万~900万円世帯」、続いて「700万~800万円世帯」、同率で「600万~700万円世帯」「1000万~1100万円世帯」と続きます(図表4)

 

出所:独立法人日本学生支援機構『平成30年度学生生活調査』
[図表4]大学生をもつ世帯の平均年収の分布 出所:独立法人日本学生支援機構『平成30年度学生生活調査』

 

公立大学の場合は、「年収600万~700万円世帯」が最も多く、「500万~600万円世帯」「800万~900万円世帯」と続きます。

 

私立大学の場合は、「年収600万~700万円世帯」が最も多く、「700万~800万円世帯」「800万~900万円世帯」と続きます。

 

国立大学と私立大学では「700万~800万円世帯」で、公立大学では、「600万~700万円世帯」で学生の半分を占めます。出身地の公立大学であれば入学費が安くなるなどの事情もあり、学生の世帯年収は公立大学で若干安いですが、「世帯年収700万~800万円」というのが、一般的な大学生家庭です。

 

国税庁『令和元年分民間給与実態統計調査』によると、令和元年12月31日現在の給与所得者数は5,990万人で平均給与は436万円。また厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、男性会社員50~54歳の平均月給は42万3700円。これらに比べると、大学生の子どもを持つ親の収入は、平均以上と言えます。

 

では「世帯年収700万~800万円」がどのような暮らしぶりなのか、総務省『家計調査』(2020年)から見ていきましょう。

 

【世帯年収700万~800万円の平均像】

世帯主の年齢:48.3~49.1歳
共働き率:55.0~62.4%
世帯人数:3.33~3.40人
持ち家率:83.2~84.0%
可処分所得額:48万7899~53万6851円
消費支出:26万1218~26万4020円
非消費支出*1:10万6783~11万7554円
返済*2:11万7283~12万1168円

*1収入の中で、税金および健康保険料、雇用保険料、年金の社会保険料として強制的に支払わされる支出
*2 土地家屋借入、クレジット購入、その他借金返済

 

家計の収支を見ても、余裕のなさが伺えます。

 

コロナ禍では、アルバイト代が稼げず、また親も頼れず、退学を余儀なくされた学生が多くいます。コロナ禍は、数年で収束すると言われていますが、我が子が大学に通うタイミングで、このような事態に再び見舞われるかもしれません。子どもの夢を叶えるために、親は頑張るしかなさそうです。

 

 

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