「児童虐待相談件数」は右肩上がり
先日、福岡県篠栗(ささぐり)町で、2020年4月に当時5歳の男児が餓死した件で、母親と知人女性が逮捕されました。報道によると、2019年8月ごろから男児に食事を与えないなどしたうえ、重度の低栄養状態だった男児を放置して死亡させた疑い。男児の体重は同年代の半分程度だったといいます。
厚生労働省が児童虐待としているのは、以下の4つ。
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる など
■性的虐待
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、ポルノグラフィの被写体にする など
■ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
■心理的虐待
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子供の目の前で家族に対して暴力をふるう(DV)など
近年、児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は右肩あがりで、平成30年度は約16万件も寄せられています。
主な増加原因として、「心理的虐待に係る相談対応件数の増加(平成29年度72197件から、平成30年度88,389件」と、「警察等からの通告の増加(平成29年度66055件から、平成30年度79,150件)」の2つを挙げています。
平成30年度の約16万件の相談を分類していくと、心理的虐待が8万8389件と全体の55.3%を占め、続いて身体的虐待が4万256件で全体の1/4を、ネグレクトが2万9474件、性的虐待が1731件となっています。
また平成29年度と平成30年度を比較すると、すべての都道府県で前年比100%超え。全国平均119.5%のなか、「沖縄県」では前年比159.2%を記録。続いて「山形県」で152.4%、「島根県」で147.8%、「長崎県」で142.5%、「佐賀県」で141.5%となりました(図表1)。
ちなみに増加率が最も低かったのは「秋田県」で100.9%。「岡山県」104.2%、「鳥取県」105.3%、「富山県」106.8%、「岩手県」108.3%と続きます。
このような虐待相談、その経路を見ていくと、最も多いのが「警察」で79150件で全体の半数程度。「近隣の知人」で2万1449件、「学校等」が1万1449件、「家族」が1万1178件、「福祉事務所」が8331件と続きます。児童本人からの虐待の訴えは1414件で1%に過ぎません。虐待を防ぐには、やはり周囲の大人の力が必要です。
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