2025年には、65歳以上の人口が国民全体の30%になることが見込まれています。それに加えて、日本社会では、後期高齢者の人口増加が最大の課題になっています。見送る家族が高齢者と共に最高の最期を迎えるためにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、なぜ若いうちから終活を始めるべきなのか、医療法人社団弘惠会杉浦医院理事長の杉浦敏之氏が解説します。

実際にエンディングノートに書くべきことは…

埼玉県・川口市でも2019年2月に「わたしの備忘録~マイエンディングノート~」を作成し、市役所や地域包括支援センターなどで配布を始めています。著者は2017年より市の地域包括ケア連絡協議会の幹事長を務めていることもあり、このエンディングノートの作成にも当初から関わってきました。

 

川口市福祉部長寿支援課(石川哲也係長)、同福祉部介護保険課(後藤武彦課長)によると、川口市は現時点では高齢化率はそれほど高くないものの、今後、高齢化が加速度的に進み、2040年には29%を超えると予測しています。今後のそうした急激な変化に対応していくためにも、市民に広くエンディングノートを知って活用してもらい、長い人生の生き方を考えるきっかけにしてほしい、と話しています。

 

このノートの内容としては、第1章が「わたしのこと」です。住所・氏名や生年月日などの基本情報と思い出、趣味・特技、好きな食べ物、宝物、これからやりたいこと・行きたい場所、かかりつけ医など、その人らしさや人生の目標、現在の健康状態などを書いてもらうようになっています。

 

第2章は「もしもの時は」です。自分が病気になったときにどんな医療を受けたいか、自分で判断ができなくなったときに誰に相談してほしいか、介護を受けるならどこで誰にケアを受けたいか、などを記入します。

 

第3章は「エンディング」で葬儀やお墓、遺言などについてです。第4章は「大切な人たち」として、家系図や大切な人へのメッセージの記入欄となっています。第5章は「財産について」、そして最後の第6章に「川口市の相談窓口」を掲載しました。

 

エンディングノートの書き方のポイントとして、以下の内容も記載してあります。

 

・ゆっくりと楽しみながら、あなたの思いを書いてください。

・まずは好きなページから気軽に書き始めましょう。

・必要だと思うページを選んで書いても良いでしょう。

・何度書き直しても大丈夫です。その際は、更新日を記入しましょう。

・定期的に振り返り、状況に応じて修正してください。

・写真を貼る、資料をはさむ等、自由にお使いいただけます。

・家族と相談しながら書いてもいいでしょう。

・ノートの存在を誰かに伝え、保管場所を明らかにしておきましょう。

 

 

上記に挙げたように好きなところ、書きやすいところから記入するのでいいのですが、医師の立場からいえば、特に第2章の「もしもの時は」に受けたい医療・介護のところを考えてみてほしいと思います。ここに意思表示をしてあると、急な体調変化の際にも家族や医療関係者が本人に代わって判断がしやすくなります。

 

(埼玉県・川口市「「わたしの備忘録~マイエンディングノート~」より一部改編)
[図表]「わたしの備忘録」 (埼玉県・川口市「「わたしの備忘録~マイエンディングノート~」より一部改編

 

 

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続・死ねない老人

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杉浦 敏之

幻冬舎メディアコンサルティング

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