いいことずくめ?私的年金「iDeCo」を検討する人増加
最近、「iDeCoはするべきですか?」という質問が多くなってきました。iDeCoとは、Individual-type Defined Contribution pension planの一部から構成された、個人型確定拠出年金の愛称です。
昨今は少子高齢化、人口減などによって公的年金の財源が減少傾向です。それに伴い年金受給額も減っていくのは確実でしょう。そのような背景から2002年1月にスタートしたのが私的年金であるiDeCoです。
iDeCoは自分で申し込み、掛け金を支払い、掛け金の運用方法(投資信託など)を選択する自己責任型の年金制度といえます。掛け金は60歳になるまで支払い、60歳以降に給付金を受け取ることができます。受け取り方法は、年金または一時金のいずれかを選択することができます(金融機関によっては併用も可)。
iDeCoのおもなメリットは3つ。1つ目は掛け金が全額所得控除になります。例えば毎月1万円(年間12万円)をかけた場合、所得税10%、住民税10%で年間2万4000円の税金が軽減されます。
2つ目は運用益が非課税になります。投資信託など一般的な金融商品の運用益には、20.315%の源泉分離課税が課せられます。しかし、iDeCoを通じてこれらの金融商品を利用した場合は、税金がいっさいかかりません。
3つ目は60歳以降に受け取る際も一定額が非課税になります。年金として分割で受け取る場合は公的年金等控除、一時金としてまとめて受け取る場合は退職所得控除の対象となります。
肝心なときに「足りない、使えない」ケース
ここまで読むといいことずくめのように思えますが、実はデメリットもあります。おもなものとしては元本割れのリスクです。iDeCoには元本が保証された定期預金を運用する商品もありますが、それでは利息が低過ぎて旨味がありません。
そこで人気の中心は投資信託を運用するタイプになります。ところが投資信託には元本割れのリスクがあります。つまり、せっかく若いうちから始めても、60歳になって受け取る額が積み立てた合計額よりも少なくなる可能性があるのです。
またiDeCoは、あくまで年金の形式をとっているので、60歳になるまで給付金を受け取ることができません。しかし、人生に想定外は付きものです。突然お金が必要になった際に換金することができないことは、人によっては大きなデメリットになるはずです。
比較的安全な通貨でも…やはり「仮想通貨」は要注意
数年前から仮想通貨に対する投資が急速に注目されるようになりました。仮想通貨はビットコインやイーサリアムなどが有名ですが、実は1500種類以上あるといわれています。
このなかで比較的安全に取引ができる日本の上場通貨は十数種ほどです。仮想通貨投資の仕組みも株式やFX同様で、安く買って高く売るだけです。その値動きは株式やFX以上に激しく、ビットコインと円であればドルと円と比較して3倍のスピードで値動きすることもあります。
このスピード感が仮想通貨投資の最大の魅力といえるでしょう。顕著な例を挙げればビットコインは、2018年に1年間で20倍以上値が上がり、大きなニュースとなりました。
しかし、仮想通貨は数ある投資方法のなかでも特に気をつけるべきといわざるを得ません。なぜなら円やドルのように国家が管理する法定通貨ではないので、各投資家の取引が直接価格に影響するからです。要するにハイリスク・ハイリターンな金融商品なのです。実際にビットコインは2018年に急騰したものの、2020年3月にはコロナ禍の影響をダイレクトに受けて1日で半額以下に急落しました。
「不安定な値動き」だけではない仮想通貨のデメリット
また、国家が管理していないということは、それだけセキュリティー面でも不安があり、紛失や流出の可能性も円などより格段に高いといえます。
例えば、仮想通貨は円のように実体があるわけではないデータ上のものなので、インストールしているスマートフォンやパソコンがハッキングされてしまえば勝手に送金されたり消失したりしてしまうこともあり得ます。実際に2018年には、大手仮想通貨取引所のコインチェックから約580億円分の仮想通貨が外部からの不正アクセスにより流出しました。
そして運用益に対する税率も大きなデメリットとなります。株式やFX投資の運用益に対する税率は一律で20.315%です。ところが仮想通貨の運用益は累進課税の対象となり、最大で45%になります。
また、この運用益は雑所得として総合課税の対象となります。総合課税とは、すべての所得を加算してその合計金額に対し課税することです。つまり、本業の収入と合計して税率が決まってしまうのです。それなのに仮想通貨投資で損失を出しても、本業の収入から差し引かれることはありません。