日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「都道府県職員の給与事情」。47都道府県、それぞれの初任給や月額給与など、見ていきます。

公務員が良いか、それとも民間企業が良いか

――地元に戻って公務員になるか、それとも就職するか?

 

学生のころ、就職活動を前に、そのように迷った人もいるのではないでしょうか。いつの時代でも「公務員と会社員、どちらが魅力か」という議論はされ、答えはでないままでいます。

 

総務省が昨年12月に公表した『令和2年地方公務員給与実態調査』の結果概要によると、地方公務員のうち都道府県職員(平均年齢42.8歳)の月額平均給料は32万4055円。月額諸手当が8万9667円で、月額平均給与は41万3722円でした。

 

一方、厚生労働省による『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、月額賃金は30万7700円(男女計、平均年齢43.1歳)。平均値では都道府県職員のほうが優勢となっています。

 

民間企業の場合、その差は大きく、男女で比較すると、男性は33万8000円、女性は25万1000円。学歴で見ていくと「大学・大学院卒」が37万2600円、「高校卒」が26万7600円と、10万円以上の差が生じています。さらに企業規模で見ていくと、「大学・大学院卒、男性」の場合、「大企業」は43万7500円、「中企業」37万7100円、「「小企業」が34万4700円。企業規模でも10万円近くの差が生じています。

 

民間企業の場合、勤める企業によって収入は想像できないほど大きくなりますので、キャリアップ等、自らの手で上げていくことも可能というメリットがあります。

 

国税庁による『統計年報』によると、所得税納税者のなかで給与所得2,000万円以上という人は、 全国に21万4146人。給与所得者のわずか0.4%ですが、そこを目指すことは決して夢ではありません。

 

公務員が給与をあげたいと思っても、そうはいきません。しかし景気に左右されない安定性はやはり魅力です。このコロナ禍、民間企業では給与減に賞与なし、業績悪化でなかには倒産という事態に……公務員であれば無縁です。

 

とはいえ不測の事態の際に対応が迫られるのが公務員でもあります。株式会社ワーク・ライフバランスがコロナ禍の2020年3~5月までの働き方について国家公務員480名から回答を得たところ、約4割にあたる176人が「過労死レベル」である「単月100時間」を超える時間外労働をしていることがわかりました。さらに「200時間~299時間」との回答は20人、「300時間以上」の回答は5人いました。

 

公務員がいいか、それもと民間企業がいいか。やはり結論はでなさそうです。

 

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