日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、人生の最終段階に対する意識調査から、「終末期医療に対する医師の考え方」に焦点をあてていきます。

 

まず医師は、患者の死が近いと判断した場合、本人にどのように伝えているのでしょう。

 

Q)あなたは、担当される死が近い患者の医療・療養について、患者本人と十分な話し合いを行っていますか。

 

患者本人との話し合いを「十分行っている」「一応行っている」の合計が65.1%。その内容は「人生の最終段階の症状や行われる治療の内容や意向」が85.2%、「人生の最終段階に過ごせる施設・サービスの情報」が55.5%、「本人の気がかりや意向」が52.3%、「本人の価値観や目標」が43.3%。事務的なことだけでなく、最期を前にした本人を尊重する姿勢が伺えます。

 

Q)あなたは患者やその家族等と人生の最終段階の医療・療養についての話し合いをいつ行っていますか。

 

話し合いの場は「病気の進行に伴い、死が近づいてきているとき」が79.6%、「治療困難な病気と診断されたとき」63.2%、患者や家族等から人生の最終段階の医療について相談があったとき」61.4%、「治療方針が大きく変わったとき」59.1%、と続きます。

 

一方、最期に直面している患者に対し「話し合いをほとんど行っていない」と回答した13.1%の医師にその理由を尋ねたところ、「人生の最終段階を迎える患者と関わる機会が少ないため」「人生の最終段階の話を切り出すことに抵抗を感じるため」の回答が多く見られました。最期に対してネガティブな印象を持っている医師も多いことが伺えます。

 

そしてもし末期がんの患者がいたとしたら、「どこで療養をすすめるか」の問いに対して、医師は「自宅」が61.7%、「医療機関」が20.2%、「介護施設」が12.6%。さらに1ヵ月に1名以上を看取る医師に限定すると「自宅」の回答は67.7%と増加します。

 

また副作用があっても悪化を遅らせることが期待できる、抗がん剤や放射線による治療は「すすめない」が50.4%、「すすめる」が22.5%。一方で「わからない」が21.7%と、命を救う医師のジレンマが感じられる結果に。

 

さらに症状が進行していった際の治療について、各々「治療をすすめる」との回答を見ていきましょう。「口から水を飲めなくなった場合の点滴」は59.5%、口から十分な栄養をとれなくなった場合の「中心静脈栄養」は18.6%、「経鼻栄養」は15.0%、「胃ろう」は10.3%、「呼吸が出来なくなった場合、気管に管を入れての人工呼吸器」は4.8%。「心停止の際の蘇生処置」は5.1%。栄養が自力でとれるかどうかが、治療の分岐点といえそうです。

 

人生の最期に直面している患者に対し、このような治療方針を持っている医師ですが、「どこで最期を迎えることをすすめるか」の問いに対しては、「自宅」が最も多く53.4%。すすめる療養の場と比較すると8ポイント近く低く、実際に人の最期を考えると、自宅では困難な部分もあることが伺えます。

 

「自宅で最期を迎えたい」と願いつつも、多くの人が病院などの施設で亡くなるのが現実。しかし多くの医師は、できるだけ意志を尊重したいと考えています。同調査では「人生の最終段階における医療」について「話し合ったことがない」が半数を超えています。穏やかな人生の最期を迎えるために、一度、身近な人と話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

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