日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「新築一戸建て購入者のローン事情」。念願の新築一戸建て。そこにはどのような苦労があるのでしょうか。

『家計調査』にみる、新築一戸建てを買った人たち

総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』によると、負債を抱える二人以上世帯のうち「住宅・土地のための負債」を抱えるのが3/4。負債平均570万円のうち、「住宅・土地のための負債」は518万円と9割を占めます。

 

また持ち家の勤労世帯のうち、「住宅ローンを支払っている世帯の割合」は40.5%。相続などでマイホームを手にすることもあるでしょうが、多くが「購入」という選択をしています。マイホームは多くの人の夢。とはいえ人生の三大出費のひとつに数えられるとおり、大きな買い物であり、購入者には大きな負担となってのしかかっています。

 

念願のマイホームだが…(※画像はイメージです/PIXTA)
念願のマイホームだが…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

二人以上世帯のうち、勤労世帯に限定し、世帯主の年代ごとに「住宅・土地のための負債額」を見ていきましょう。

 

【世代別「住宅・土地のための負債額」】

20代 2959万円(年間収入517万円)
30代 2456万円(年間収入645万円)
40代 1983万円(年間収入777万円)
50代 1293万円(年間収入846万円)
60代 621万円(年間収入670万円)

 

さらに「世帯主の配偶者のうち女性の有業率」も見ていきましょう。

 

【「住宅・土地のための負債」を抱える世帯の女性の有業率】

20代 32.6%
30代 58.1%
40代 57.1%
50代 55.1%
60代 42.4%

 

30代以降でも、世帯主の収入だけが返済の原資という世帯が4~5割。30代で巨額のローンを抱え、それを世帯主の収入だけで返済をしていく……。結構なプレッシャーではないでしょうか。

 

出所:総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』より作成
[図表]住宅・土地のための負債を抱える世帯、世代別負債額等 出所:総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』より作成

 

厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男性、大学・大学院卒)の月給は50代前半でピークに達します。
 

【会社員の月給の推移】

25~29歳 26万6400円(大企業27万8900円、中企業25万6300円)
30~34歳 32万1800円(大企業34万8800円、中企業30万1900円)
35~39歳 37万6600円(大企業41万3600円、中企業35万900円)
40~44歳 42万9500円(大企業47万1600円、中企業40万2400円)
45~49歳 47万5800円(大企業53万600円、中企業44万3600円)
50~54歳 53万5200円(大企業58万5400円、中企業49万5500円)
55~59歳 52万2900円(大企業57万1200円、中企業50万600円)
60~64歳 38万5100円(大企業40万300円、中企業39万2300円)

 

30代で子ども2人、月給が37万円だとすると、手取り額はおおよそ28万~29万円程度。そのなかから、生活費や子どもの教育費、そして住宅ローンを払わないといけないわけですから、やりくりが大変なことは想像できるでしょう。

 

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