「税務署に顔が利く」という誤解が破滅を呼ぶ
そうはいっても「国税庁OBの税理士なら、人によっては厳しいのかもしれないが、基本的には税務署に顔が利くだろうから、いざというときにそのツテを使って何とかしてくれるだろう」――、どこかで頼りに思ってしまう方がいらっしゃると思います。判断材料が少ない場合には、その肩書が説得力として機能してしまうのは、ある程度仕方のないことかもしれません。
しかしご存知でしょうか。元国税局長が退職後に税理士を開業し、その後巨額の脱税容疑で逮捕されました。わずか数年間で何億もの所得を隠し、脱税したのです。
元局長ですから、国税局にいるあいだは相当な権力を持っていたはずです。あまりに大胆な脱税をやってのけた背景には、おそらくその権力を持って無理を通すことができると思い込んでいたのだと推察します。本人も、まさか自分が逮捕されるとは思っていなかったことでしょう。
かつては、泣く子も黙る国税局長の権力で、税金をごまかせたことがあったのかもしれません。しかしもはや、そんな時代ではないのです。私たちも、「国税庁OBに任せれば何でも大丈夫」「いざとなれば何とかしてくれる」、そんな考えを改めなければなりません。「税理士だから」「国税庁OBだから」、そんな「薄っぺらな看板」だけを頼りに、将来を左右する相続税対策を任せてはいけないのです。
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