老後のための貯蓄ゼロの異常事態
■50代の3人に1人が老後貯蓄ゼロという現実。このままでは「下流老人」「老後破産」へまっしぐら~誰も逃げられない老後の生活苦
最近、「下流老人」あるいは「老後破産」という言葉をよく耳にするようになりました。年金や貯蓄だけでは老後生活が立ち行かなく、生活が困窮してしまう高齢者のことです。考えるだけでも気がめいりますが、これは特別なことではなく、誰にでも起こりうる問題なのです。
その証拠としてフィデリティ退職・投資教育研究所のレポートを紹介しましょう。フィデリティというのは、ご存じの方も多いと思いますが、世界的な資産運用会社で日本でも投資信託などを提供しています。
このレポートは、サラリーマン1万人への調査を行ったものですが、驚くべきは退職準備金が0円の人が約41%もいるということです。2人から3人に1人が、老後のための資金をまったく準備できていないことになります[図表1]。
年齢が高くなるにしたがって、その比率は下がりますが、50代でも3人に1人が0円の状況です。定年延長が話題になっているとはいえ、50代といえば、リタイアは目前に迫っています。老後生活を迎えるまでに十分な蓄えをするのは、ほぼ不可能といってもいいでしょう。