大腸がんの母「自宅で死にたい」別居息子が取った行動に絶句

2025年には、65歳以上の人口が国民全体の30%になることが見込まれています。それに加えて、日本社会では後期高齢者の人口増加が最大の課題になっています。高齢者とその家族が、「希望の最期」を迎えるためには、知識を身に付け、トラブルへの対策を考えておく必要があります。本記事では、「在宅死」を望む患者と、その家族に起こったトラブルについて、事例をもとに解説していきます。

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「在宅看取りを希望していたのに…」土壇場で意見決裂

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

前回のFさんのケースのように集合住宅の管理人や、新聞が何日分も溜まっているのに気づいた新聞配達員などが住人の「異変」に気づいて救急車を呼ぶのは、ある意味仕方がない面もあります。本人の生活や病状をよく知らない第三者だからです。

 

しかし、がんの終末期の患者さんや長く闘病をしてきた高齢者で、自宅や高齢者施設での看取りの意思表示をしていた人でも、いざというときに救急搬送になる例は珍しくありません。私の印象に残っているのが、Yさんのご家庭です。

Case1:家で看取るか搬送か迷う妹に、別居兄が…

Yさんは70代の女性です。大腸がんの終末期であり、埼玉県立がんセンターからの紹介で当院に来られました。

 

1月の初診の頃は、同居する娘さんと一緒に外来に歩いてこられるくらい元気がありましたが、3月頃には通院困難になり、在宅医療に切り替えに。だんだんと食事もとれなくなり、点滴で栄養を入れるようになりました。

 

4月になると時折意識がおかしくなる、せん妄のような混乱状態に陥るなど、最終段階が近づいている兆候が増えましたが、Yさんと介護を担う娘さんは、そのまま自宅で最期まで過ごすという意思を示していました。

 

5月の初めのある夜、「Yさんの呼吸がおかしい」と娘さんが電話をしてきました。私が急いで訪問すると、Yさんは心臓の周りに水が溜まった状態で、今にも息が止まりそうな差し迫った状態です。

 

私は取り急ぎ、胸に溜まった水を抜く処置をしてなんとか心拍は再開したのですが、呼吸は弱く「このままだと間もなく亡くなります。自宅で看取るのでいいですね?」と最終確認をすると、娘さんは「ちょっと待ってほしい。兄に相談する」と言って、離れた地域に住む長男に電話をかけました。

 

すると、母親に最期が迫っていることを知った長男が、すぐさま救急車を呼んでしまったのです。救急隊が到着したときに、Yさんは呼吸停止の状態で救急隊員はすぐ蘇生を始めようとしましたが、その流れに難色を示したのが娘さんです。

 

呼吸が止まり意識を失ったYさんの周りで、電話越しに長男は蘇生を望み、救急隊は「いいですか、(蘇生を)やりますよ!」と気色ばんでいて、娘さんが抵抗して泣き崩れているという、ちょっとした修羅場のようになってしまいました。

 

結局、Yさんはその場で蘇生処置を行って病院に救急搬送されていき、それから5日ほどして搬送先の病室で息を引き取りました。

 

この間、Yさん自身はすでに意識がなかったので苦痛は感じなかったかもしれませんが、母親の闘病をずっと見守ってきた娘さんはもちろん、著者自身にも「病院に運んで本当によかったのか」という苦い思いがいつまでも残ったのも事実です。

 

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医療法人社団弘惠会杉浦医院 理事長

1988年、千葉大学医学部卒業。
千葉県救急医療センターに勤務後、千葉大学医局研修を受け、千葉大学大学院で医学博士号取得。
大宮赤十字病院に勤務し、2003年より医療法人社団弘惠会杉浦医院院長、2004年より同医院理事長。
日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント取得。埼玉県立大学にて講師を務めている。
大学卒業以来25年にわたり高齢者医療に携わっており、地域医療を充実させるために末期癌患者への在宅医療も行う。
著書に『死ねない老人』(幻冬舎メディアコンサルティング・2017年)がある

著者紹介

連載後悔せず見送るために実践すべき「家族の終活」

続・死ねない老人

続・死ねない老人

杉浦 敏之

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな人でも懸命に生きたその先に、必ず死を迎える。 大切な人生の終わりを“つらい最期"にしないために何ができるのか――。 「死」を取り巻く日本の今を取り上げつつ、 自分の最期をどのように考え、誰にどう意思表示…

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