白内障手術で「医師にすべておまかせ」は後悔の元
白内障の手術を受けるうえで大切なのは、「医師にすべておまかせ」にしないことです。白内障手術を検討する患者は多くが高齢ですし、また白内障によって目も見えづらくなっています。「細かいことはよく分からないから、医師にまかせたい」と思う気持ちもあるでしょう。
白内障手術を行う眼科医の医療技術にも格差があります。なんとなくの流れで執刀医を決めてしまわず、ご家族に協力してもらうなどして信頼のおける医師を選ぶべきです。
また最近は、患者が白内障治療に求めるものも以前とは少し変わってきています。以前は、白内障によって暗くなっていた視野が明るくなり、ある程度見えやすくなればそれでよいという感覚が、医師にも患者にもあったように思います。
ですが最近は「せっかく治療をするなら、すっきりクリアな視界になりたい」「眼鏡を使わずによく見えるようになりたい」という要望も多くなっています。
患者の側からすれば当然の欲求ともいえますが、医師の側はその分、高度な技術を求められることになります。それに応えるべく技術を磨き、精度を上げる努力をしている医師と、そうでない医師や医療機関ではやはり結果にも差が出てきます。
また患者自身も、普段どのような生活をしていて、どんな見え方・視力を希望しているのかを、遠慮せずにしっかりと医師に伝えてください。あわせて眼内レンズの特徴やメリット・デメリットを医師によく説明してもらい、納得して選ぶようにすることも大切です。それが「満足のいく、よく見える目」を獲得するための近道なのです。
「日常生活への影響」を自覚したら、手術を検討
白内障手術に関して、おそらく多くの人が迷うのが「いつ手術をするか」という問題ではないでしょうか。
白内障を発症していても、まだ程度が軽い人では、進行を抑える点眼薬を使いながら経過観察を続けていることがよくあります。白内障は年を重ねるごとに徐々に進行していきますが、いずれ手術が必要と知っていても、「なんとなく怖さもあって先延ばしにしている」という人も多いかもしれません。
私自身は、手術に最適なタイミングを患者に尋ねられたときは「生活に不自由を感じたとき」と説明しています。自覚症状として特に生活に困っていないというときは、無理に手術をする必要はありません。
なかには「早く手術をしたほうがいい」とか、「老眼も治るから」といって白内障手術を急がせるケースもあるようですが、白内障が軽く、比較的目がよく見えていた人が手術で眼内レンズを入れると、かえって見えづらくなることもあります。
白内障がある程度進んできて「困った」ことが出てきたら、手術を具体的に検討しましょう。
判断目安の1つは「視力」…矯正視力0.5未満なら要検討
生活に不自由を感じる原因のひとつは、視力の低下です。そのため次のような数値もひとつの目安になります。
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●車の運転をする人…矯正視力0.7未満
車を運転する人では、裸眼、もしくは眼鏡などで矯正した視力が0.7以上ないと免許の更新ができません。
●車の運転をしない人…矯正視力0.5未満
運転をしない人でも、眼鏡などで矯正をしても視力が0.5を下回るときは、手術の適応と考えましょう。
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矯正視力が0.5未満というのは新聞の文字を読む限界の視力ですし、日常生活でも支障が増えてきます。転倒や事故などを起こす前に手術を検討しましょう。
ただし、視力は測るときの体調や、測定時の条件によっても変わってきます。1回測っただけの視力を過信しないことも大切です。
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