ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。今回は、同社の「ジャパンメジャーレポート - 不動産マーケットアウトルック2021 2021年1月」より一部抜粋し、賃料が下落している「銀座エリア」の今後の動向や、コロナを機に銀座に移転や出店を検討する際のポイントを解説します。
出店ニーズ減で、銀座ハイストリートの賃料は下落傾向
2020年のリテール賃貸市場は、COVID-19感染拡大の影響を大きく受けた。
既存店舗の売り上げが減少した多くのテナントが、物件オーナーに対して賃料減額や支払い猶予などの支援を要請。要請を行ったテナントの業態は幅広く、インバウンドの売上比率が高かったテナントのみならず、国内消費者をターゲットとしていたテナントも含まれていた。
銀座では、従前より業績不振だったテナントが、コロナ禍を契機に退店を決めたとみられる事例が複数あった。また、募集物件のなかには入居の協議をしていたリテーラーとの交渉が一旦ストップした事例があった。ただし、コロナ禍以前に賃貸借契約を締結していたリテーラーからは、違約金を払って契約を解除したという事例は、ほとんどみられなかった。
2020年Q3の銀座ハイストリート空室率は、対前期比0.9ポイント上昇の2.6%(FIGURE4)。前年同期を0.6ポイント上回った。
コロナ禍による業績不振を理由とした退店がみられつつある。しかしハイストリートのなかでも好立地の物件については、後継テナントとして複数のリテーラーが出店を検討している。ただし、賃料目線は相場並み、ないしは相場を下回っている。
銀座ハイストリート賃料は、2017年から2019年にかけて上昇基調が続いたものの、2020年Q2は2019年末比2.2%減の25.22万円*2、2020年Q3は対前期比2.1%減の24.7万円となった(FIGURE5)。
下落の背景として、即入居可能な空室ならびに潜在的な空室の募集が増えていること、さらに比較的高額な賃料の支払いに慎重姿勢のリテーラーが増えていることが挙げられる。
一方、銀座4丁目の交差点に近い稀少な一等地の物件には、高額な賃料を支払ってもよいと考えるラグジュアリーブランドが存在する。そのため、2020年Q3のプライム賃料は40万円/坪と、20期連続*3の横ばいとなった(FIGURE6)。コロナ禍で業績を落としたラグジュアリーがある一方、株高を背景に売り上げが好調な高級時計などの出店ニーズがみられた。
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シービーアールイー株式会社(CBRE)
リサーチ
ディレクター
CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やプロパティマネジメント、不動産鑑定評価などの17の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、約半世紀に亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。
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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P500」にランクされ、ダラスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2021年の売上ベース)。全世界で105,000人を超える従業員(ターナー&タウンゼントの従業員を除く)が、100カ国以上でクライアントに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。
2007年シービーアールイー入社。投資家や一般事業会社所有の不動産に対して、有効活用を提案するコンサルティング業務に従事。2010年リサーチに異動。グローバルならびにAPACレポートの日本パート作成に携わり、海外クライアントに対して日本のオフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場に関する情報を発信。2014年から商業施設の賃貸市場に特化し、各種レポートの執筆とともに国内外のクライアントに対してマーケットの考察を提供している。グラスゴー大学院社会科学部、早稲田大学経営管理研究科卒業。
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