日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「犯罪」。罪種は様々なですが、そのなかでも凶悪な犯罪を中心に、認知件数などを見ていきます。

コロナ禍で改善…犯罪件数は戦後最少を記録

様々な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症ですが、意外なところにも。警察庁によると、2020年の刑法犯の認知件数は61万4303件。前年比17.9%減で、戦後最少を更新しました。街頭犯罪や侵入犯罪が激減したことが主要因とされています。

 

外出を控える行動から、街中で犯罪に巻き込まれる機会が減り、また在宅率があがったことで空き巣や押し込み強盗なども減ったと考えられます。

 

一方で給付金に関連した特殊詐欺事件が話題になったりと、新たな犯罪が生まれている印象も。ただ特殊詐欺事件もも前年比19.7%減の1万3526件と、過去5年間を振り返っても過去最少。さらに検挙率は前年34.0%から40.9%と、6.9ポイント改善しました。

 

種別にみていきましょう。

 

■凶悪犯(殺人、強盗、放火、強制性交等)
認知件数 4444件(前年比5.6%減)
検挙率 96.0%(前年比5.9ポイント増)

■粗暴犯(暴行、傷害、脅迫、恐喝など)
認知件数51829件(前年比8.7%減)
検挙率88.3%(前年比3.7ポイント増)

■窃盗犯(侵入盗、乗り物盗など)
認知件数 417291件(前年比21.6%減)
検挙率 40.9%(前年比6.9ポイント増)

■知能犯(詐、横領、偽造、汚職など)
認知件数 34065件(前年比5.5%減)
検挙率 53.5%(前年比0.3ポイント増)

■風俗犯(賭博、わいせつなど)
認知件数 7723件(前年比11.3%減)
検挙率 84.8%(前年比5.5ポイント増)

 

さらに細かく見ていったとき、前年を上回ったのは以下の犯罪です。

 

■凶器準備集合
5件(前年比66.7%増)

■傷害(うち傷害致死)
71件(前年比6.0%増)

■脅迫
3778件(前年比3.3%増)

■汚職
57件(前年比16.3%増)

■略取誘拐・人身売買
337件(前年比15.0%増)

 

来日外国人のなかで、重要犯罪(殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐・人身売買及び強制わいせつ)/重要窃盗犯(侵入盗、自動車盗、ひったくり及びすり)を国籍別に見ると、全553件中、「ベトナム人」が最も多く、検挙人数は115人。以下「中国人」89人、「ブラジル人」55人、「韓国・朝鮮人」が27人、「フィリピン人」25人と続きます。

 

また年齢別に刑法犯の認知件数を見ていくと、重要犯罪の被害者で最も多いのは、「20~29歳」で重要犯罪全体の27.8%。「13~19歳」(20.7%)、「0~12歳」(11.9%)と続きます。一方、重要窃盗の被害者では、「55~59歳」が最も多く、全体の12.9%。「40~49歳」(12.5%)、「70~79歳」(12.1%)、「30~39歳」9.3%と続きます。

 

重要犯罪の被害者は若年層が多く、重要窃盗では40~50代のほか、70代も多いのが特徴。高齢化で単純に母数が増加しているという事情のほか、高齢者を狙った犯罪が増加傾向にあることが関係していると思われます。

 

狙われている?(※画像はイメージです/PIXTA)
狙われている?(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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