先祖代々の土地を売るときや、トラブルが起こった時に確認すると「登記されていない」ということはしばしばあります。そんな時にどのような手続きが必要になるのかと、登記することの大切さを公認会計士・税理士の倉持氏が解説します。

不動産の登記は非常に面倒な作業になりやすい

不動産を登記するには、測量し図面を作成する必要があります。測量は未登記の土地の権利者だけではできず、隣接地の権利者も立ち会って、現地の境界線を確認しなければなりません。そうでないと、「うちの土地はもっと広かった。境界をごまかしただろう」「いや、そんなことはない。確かに、ここまでと生前おじいさんから聞いている」などとトラブルになってしまうおそれがあるからです。

 

両家の間に道路や川など誰の目から見ても明らかな境界があれば別ですが、たいていの家庭は敷地4辺のいずれかは隣とつながっているものです。仮に3辺の隣地との境界がはっきりしなければ、3軒のお隣さんと話し合いをしなくてはなりません。その話し合いさえ、難なく進むかどうかはわかりません。お隣さんが1人でもゴネ出したら、それこそ裁判です。

 

無事に測量図面を作成しても、もし法務局にある地図(公図)と合致しない場合は、公図を訂正するなどの作業が必要になります。専門家に頼めば力にはなってくれますが、基本的なところは自分たちでやらなければならないので、やはり面倒は避けられません。

 

その後、登記に必要な書類を法務局に提出して手続きをします。ただし、この時点での登記は祖父の名前でします。一度購入者である祖父の名義にして、祖父が亡くなった頃の相続人で集まり、分割協議を経て分割協議書にサインをしてもらいます。つまり、当時やらずに済ませていた相続をやり直さなければならないのです。

 

祖父の死から10年も20年も経ってから相続をやり直すような場合は、相続人が代替わりしている可能性もあるので、骨の折れる作業となります。その上で、次の相続手続きをすることになります。

 

ここまででも相続人にとっては、かなり根気のいる作業になるはずです。それで済めばまだよいほうで、場合によってはこの先も事がスムーズに進まないことがあります。

 

相続人の代替わりにより、相続すべき人の数が多くなっている場合などは、「不動産でもらっても仕方がないから、金銭的な見返りが欲しい」と要求する者が出てくる可能性も高まります。あるいは、代襲相続が絡んで事態がややこしくなる場合もあります。

 

ただ、自分たちが住んでいる家に住み続けたいだけなのに、なんと障害が多く面倒なことでしょうか。こんな事態にならないためには、未登記の不動産をそのまま放置しておかず、生前に整理しておくことが一番の対策と言えるでしょう。

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