年金受給者が確定申告の申告不要制度を使うメリット
では、申告不要制度を使うメリットはどこにあるのでしょうか?
まずひとつは手間がかからないという点です。わざわざ混雑する税務署に行く必要がなくなります。
また、確定申告をしないということは、源泉徴収されている税額は別として、所得税の納税がなくなるということです。これがメリットになる人もいるでしょう。
ただし、この制度を使ううえでの注意点がふたつあります。1つ目は、「確定申告不要制度の条件に合致する人でも、確定申告をしたほうがいい」というケースがあることです。
これは、言い換えれば「確定申告をして還付金を受け取れる場合」ということになります。
たとえば、多額の医療費を支払った(医療費控除を使う)場合や、災害や盗難にあった(雑損控除を使う)場合のように、所得控除などを使える人は、確定申告をすれば還付金をもらえる可能性があります。この場合、申告不要制度を使えたとしても、確定申告をしたほうがおトクです。
2つ目の注意点は、申告不要制度は国税である所得税の制度ですから、地方税の住民税には使えないということです。
したがって、税務署への確定申告はいらないけれど、別途、住民税の申告が必要というケースがありえるのです。この判断をみずからおこなうのは難しいので、お住まいの市区町村などに相談してください。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2020年12月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
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