相続した不動産を共有してしまった結果、様々なトラブルが発生することがあります。姉妹の仲を引き裂いた、不動産の共有トラブルの例から、どのように相続するとトラブルが生じにくいのかを公認会計士・税理士の倉持氏が語ります。

トラブルを解決するには「共有状態」の解消しかない

解決するには、まず共有状態を解消しなければなりません。

 

考えられる1つの方法は「区分所有」にすることです。他の物件はともかく、収益の高い優良な賃貸マンションは2人とも欲しがっているのですから、どこかで半分に区切って、その半分ずつをお互いが自由にできる状態を作り出すのです。区分所有は、例えば1階から4階までを妹が所有し、5階から8階までを姉が所有するといったイメージです。

 

しかし、すでに険悪になっている姉妹ですから、2人とも市場価格の高い8階を欲しがるなど、区分所有を決める段階でまた話が進まなくなってしまいました。かといって、どちらか一方が自分の持分をもう一方に売却、もしくは贈与するということも、お互いが納得しませんでした。

 

そう考えた末、争いを治めるには、やはり売却しかないということになりました。そのまま売却をして、その売却価額を折半したのです。争いを引き起こしている元である優良不動産を処分することによって争いを治める、けんか両成敗のようなものです。

 

2人とも所有しておきたい不動産だったわけですから、それを売却してしまうというのは、ある意味で強硬手段でもありますが、終盤になると2人とも「どうすればうまく解決できるか」という方向に考えが変わり、冷静になることができたために、裁判沙汰にはならず、その後の関係が途絶えるようなこともありませんでした。

 

結局、相続発生時に「自分たちの手に余ったら、売ればいい」と話していた通りにはなったわけですが、せっかくおもしろくなり始めていた不動産賃貸業に対するやる気は薄れてしまい、他の賃貸不動産もすべて売却し、換価分割という方法で解決することになり、父が守ろうとしていた不動産はすべてなくなってしまいました。

 

最終的には、何とか2人の関係が元に戻るようなところまではこぎつけられましたが、この一連の騒動が初めから起こらないようにしていれば、誰がなんと言おうとそれがベストであったことは間違いありません。

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ワケあり不動産の相続対策

ワケあり不動産の相続対策

倉持 公一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

ワケあり不動産を持っていると相続は必ずこじれる。 相続はその人が築いてきた財産を引き継ぐ手続きであり、その人の一生を精算する機会でもあります。 にもかかわらず、相続人同士が財産を奪い合うといったこじれた相続は後…

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