
こんな人材が日本にも欲しかった。オードリー・タン。2020年に全世界を襲った新型コロナウイルスの封じ込めに成功した台湾。その中心的な役割を担い、世界のメディアがいま、最も注目するデジタルテクノロジー界の異才が、コロナ対策成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIとイノベーション、そして日本へのメッセージを語る。本連載はオードリー・タン著『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。
執務室は空軍司令部があった場所
境界を取り払うことから始まるオープン・ガバメント
最近の私の一日の活動について少しお伝えしましょう。
私の起床は朝6時半です。仕事場にはスニーカーを履いて行きます。執務室のある社会創新実験センターまで歩いたりジョギングしたりして、職場に向かいます。大雨でなければ、歩いて通勤するのが私のルールです。その途中で友人に会って話したりして、最新の政策についてよりクリエイティブなアイデアをもらうこともあります。
執務室に着くと、自分で体温を測り、警備員に「今日は36.7度」と伝え、カードキーで中に入ります。コーヒーを淹れ、氷を加えてから、スニーカーからビジネスシューズに履き替えます。そして、ネット上で何かしらの返信が来ていないかについてチェックします。前日の晩に私が帰った後、同僚たちが新しくタスクを追加していれば、そこにコメントを入れます。それから当日のスケジュールについて確認します。

私の執務室のある建物は、かつて空軍司令部が存在していた場所です。日本統治時代は、工業研究所のような機関が置かれていたと聞いています。もともとは建物の四方が完全に壁で囲まれていて、目の前の仁愛路からはまったく中を見ることができませんでした。
しかし、現在は壁が取り払われ、まるで公園のような場所になっています。台北市内有数の大きな公園である大安森林公園よりもさらに開放的で、一息入れるには格好の場所です。建物はどこからでも見渡すことができるようになっています。
この建物の地下には、現在行われている消防署による安全検査が終わった後、いくつかの組織が入居することになっています。国連が掲げる十七項目の「持続可能な開発目標」に関する問題を解決するための組織であれば、一年間無償で借りることができるようになっています。
また、イベント開催や記者会見、展示会などの単発の開催であれば、事前申請を行うことで、無料で使用することもできます。ただし、イベントは「誰でも参加可能なスタイルでなければならない」というルールがあり、ひとことで言えば、この場所は「イノベーションを生み出すための場所」なのです。
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