日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「男女格差」。東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗氏の「女性蔑視」発言が大炎上していますが、そもそも日本における男女格差はどれほどなのでしょうか。

男女の賃金格差改善も、女性の賃金は男性の3/4

日本における就業者数は、女性2,992万人、男性3,733万人。女性の15〜64歳の就業者は2013年以降、増加し、65歳以上についても2003年以降増加しています。生産年齢人口の就業率をOECD諸国と比較すると、男性は84.0%で第3位ですが、女性は69.6%で14位。男女の就業率格差は14.4%ポイントで、7番目に格差が大きくなっています。

 

女性の非正規雇用者は56.0%、男性は22.8%(2019年時点)。15〜24歳では女性が29.8%、男性21.6%が非正規雇用者ですが、男性は25~34歳、35~44歳、45~54歳と順位低くなっていきますが、女性は年齢層が上がるごとにその割合が高くなっていきます。特に女性は35~44歳の層以降、すべての層で非正規雇用者の割合が50%以上。男性で非正規雇用者の割合が50%以上なのは65歳以上の層だけです。

 

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年度)で賃金の推移をみていくと、男女計30万7,700円(年齢43.1歳、勤続12.4年)、男性33万8,000円(年齢43.8歳、勤続13.8年)、女性25万1,000円(年齢41.8歳、勤続9.8年)。男性を100とした際の賃金格差は、前年から1.0ポイント改善していますが、男女で25ポイント近い差が生じています。

 

都道府県別に見ていくと、最も女性の平均賃金が高いのが「東京都」で30万5,800円。「神奈川県」「大阪府」「奈良県」「京都府」と続きます。一方、女性の平均賃金が低いのが「山形県」で20万4,000円。「青森県」「宮崎県」「佐賀県」「岩手県」と続きます。

 

次に賃金の男女格差を見ていくと、最もギャップが少ないのが「沖縄県」で賃金格差81.05%。「高知県」「京都府」「奈良県」「岩手県」と続きます。一方で格差が大きいのが「山梨県」で賃金格差72.59%。1位と47位で10ポイント近くの差が生じています(図表6)

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年度)より作成
[図表6]都道府県別「平均賃金における男女格差」上位10 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年度)より作成

 

男女の賃金格差は、社会の様々な面で問題となり、顕在化しています。たとえば生活保護。厚生労働省「平成30年度被保護者調査」によると、生活保護を受給しているのは206万8,958人のうち、母子家庭は22万5,279人。生活保護を受給する10人に1人という水準です。女性の低賃金により、父子家庭よりもひと際、生活保護の申請が多くなっています。

 

年齢階級別労働力率を見ていくと、出産・育児の負担が大きい女性は、30代で凹む、いわゆる「M字カーブ」を描いています。年々、そのカーブは浅くなっているというものの、まだ解消にはほど遠い、というのが現状です。

 

世界的にみても男女格差の大きい日本。日本の現状、意識などを考えると、男女格差の是正はかなり困難だと思われますが、一歩ずつ前進していきたいものです。

 

 

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