女性議員のいない「市区町村議会」は結構多い
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と日本オリンピック委員会の臨時評議会の場で口を滑らした、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元内閣総理大臣。女性蔑視と受け取れる発言を受けて、在京の欧州連合代表部や加盟国大使館がツイッターに「#dontbesilent(沈黙しないで)」「#genderequality(男女平等)」と投稿し、数万を超える「いいね」が付き、炎上は国境を越えて広がり続けています。
オリンピック憲章に反するなど、様々な意見がいわれている今回の問題ですが、これは日本がいまだ克服できていないジェンダー格差を象徴する発言だという向きがあります。『世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップレポート2020』で、日本のジェンダー・パリティの指数は153ヵ国のなかで121位と、前年の110位から順位を下げました。2006年に行なわれた第1回調査では80位でしたから、それから41位もランクを下げているのです。
そんな日本の男女格差の現状を、いくつかの分野で見てみましょう。
まず政治の世界において、内閣府「女性の政策・方針決定参画状況調べ」によると、国会議員に占める女性の割合、衆議院議員総選挙当選者の女性の割合は、戦後の一時期を除き、1~2%台で推移。1996年に小選挙区制比例代表並立制が導入されてからは上昇傾向にあり、2021年2月5日現在、463議員中46議員、9.9%となっています。上昇傾向とはいえ、海外と比べると低水準。2020年6月時点で190ヵ国中163位となっています。ちなみに参議院議員は243議員中55議員で、22.6%が女性議員です。
都道府県議会で女性議員の占める割合は、全国平均11.4%。そのなかで最も女性議員の割合が高いのが「東京都」で29.0%。「京都府」「神奈川県」「滋賀県」「兵庫県」と続きます。一方で女性議員の割合が最も低いのが「山梨県」で2.7%。「熊本県」「大分県」「広島県」「香川県」と続きます(図表1)。
市区議会議員で女性議員の占める割合は、全国平均16.6%。そのなかで最も女性議員の割合が高いのが「東京都」で30.3%、最も低いのが「長崎県」で7.4%。町村議会で女性議員の占める割合は、全国平均11.12%。最も高いのが「大阪府」で25.9%、最も低いのが「山梨県」で4.4%となっています(図表2、図表3)。
さらに市区町村議会では女性議員ゼロの地域も多く、その割合が最も高いのが「奈良県」で、39市町村中15市町村、38.5%にも及びます(図表4)。
公務員について見ていきましょう。国家公務員は国家公務員採用試験からの採用者で36.8%、総合職試験からの採用者で35.4%が女性(2020年4月1日時点)。
一方、地方公務員で採用試験(大卒程度)からの採用者で最も女性の割合が高いのが「香川県」で女性の割合は43.4%。一方で最も女性の割合が低いのが「茨城県」で24.9%。女性管理職が最も多いのが「鳥取県」で20.9%、最も低いのが「秋田県」で4.6%となっています(図表5)。
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