経営困難な企業を再生できるかどうかは、企業の置かれた状況はもちろん、経営者自身の素質に関係しています。今回は経営者を5タイプに分けて、よりよく企業再生へ導く方法を考えていきます。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

企業再生における5タイプの経営者像

企業再生の見極めにおいて重視しているのが企業の置かれている状況と経営者自身です。そして、企業再生支援の無料相談や多くの面談を行っている経験から経営者を5タイプに分けることができます。

 

社長はどのタイプ?(※画像はイメージです/PIXTA)
社長はどのタイプ?(※画像はイメージです/PIXTA)

 

1.自責型

現在、企業が資金破綻寸前であることは明確です。そして破綻寸前に至る経緯や原因を質問しても箇条書きのような説明があれば筆者が時系列にまとめ、質問することで意思疎通が図れます。

 

しかし、自責型の経営者は「全て経営者である私が悪いんです。」「自分のせいで従業員にも仕入れ先にも迷惑をかけてしまった。」と自分を責め、一向に原因が明らかになりません。

 

そのような自責型の経営者には、

 

「残念ながら起きてしまったことです。時間は戻りません。一緒にこれ以上の迷惑をかけない方法を考えましょう」

 

と、筆者が自責型経営者との面談の際に声を掛けます。

 

2.降参型

ここに至る経緯・原因は自責型に近いですが、降参型経営者は自責型に比べてある程度説明してもらえます。

 

しかし降参型の経営者は「どうせ、だめだろう。」「もう、無理だろう。」という、文字通りの降参している様子です。

 

そのような降参型の経営者に対して筆者は

 

「社長、確かに資金繰りは苦しいですが、この事業だけは依然として黒字に見えます。どうにか再生の余地がありそうですよ。まずは資金繰り破綻の回避策をとった上で、詳細な黒字化計画を一緒に考えませんか?」

 

このようにポジティブな部分を見出し声をかけていきます。そうすると降参型の経営者は「どうせ無理なんでしょう」から「可能性あるの? 具体策は何?」と前向きになるのがこの型の特徴です。

 

3.虚勢型

経緯・原因は降参型と同様です。しかし虚勢型の経営者は口癖が異なり、「破産の覚悟はできている。怖くなんかない」「もう、腹は決まっている」等です。

 

筆者はそれに対して

 

「社長、最悪の事態に備えて覚悟を決めておくのは良いですが、少し先走りすぎですよ。まだ十分に再生できる可能性を残しています。まずは、本気で再生をチャレンジしましょう。想定する手段と順序は……」と返します。

 

そこでやっと前向きになり始めます。

 

4.他責型

経緯や原因について質問をすると明確に回答するのがこの型の経営者です。

 

しかし言動は「社員がだめなのが原因だ」「銀行にだまされたからだ」「むしろ、俺は被害者だ」というように、回答は明確なのですが全く同意できません。

 

すべての原因が自分以外の何かです。

 

「そうですか。帳票を見るとOO社の売掛金が月末に入金になれば、目先の資金繰りは回るのではありませんか。えっ、OO社は破産申請しているのですか。それでは回収見込み立ちませんね」

 

「経理部長の審査能力が低いから、OO社なんかと取引したんだ」

 

「新規販売先の与信の最終決裁者は経理部長なのですか。あ、それは社長なのですね」

 

本来であれば、与信管理の現況を聞いた上で、中小企業の体力に合った管理方法などの話をしたいのですが、「あいつが悪い」で終わってしまいます。

 

大喜利のようにすべての原因を他に求めるのが他責型の経営者です。

 

5.現実型

経緯や原因についてある程度分析済みであり、再生への意欲も高いのが現実型の経営者です。

 

口癖は「教えてください」「どうやれば良いのですか」「当社では難しいのですが、代替案はありませんか」です。

 

このように、少し乱暴かもしれませんが、経営者はこれら5つに分類することができます。

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