多焦点眼内レンズの歴史
最初に開発された眼内レンズは、一定距離にのみ焦点(ピント)が合う「単焦点眼内レンズ(モノフォーカルレンズ)」でした。
この単焦点眼内レンズの場合、例えば手元がはっきり見えるようにしたい人は、近方(近距離)に焦点が合う度数の単焦点眼内レンズを選んで眼内に挿入します。そして、それ以外の距離のものを見たいときは近視用のメガネをかけます。
反対に、遠くをはっきり見たい人は遠方(遠距離)に焦点が合うような度数で単焦点眼内レンズを選び、手元を見るときは老眼鏡を使います。要するに、近方を選んだ人も遠方を選んだ人も、選ばなかった距離のものを見るときはメガネが必要になります。
その後、近くも遠くも見える「多焦点眼内レンズ」が開発されました。多焦点眼内レンズは簡単にいうと、メガネやコンタクトレンズで「遠近両用」と呼ばれるものと同じ機能をもちます。
メガネの遠近両用レンズが二重焦点から三重焦点などへ進化したように、多焦点眼内レンズも「遠方(3〜5m以上)+近方(40cm以下)」の2焦点眼内レンズ、「遠方+中間距離(1m前後)」の(2焦点)焦点深度拡張型眼内レンズ(EDOFレンズ)、そして「遠方+中間距離+近方」を網羅する3焦点眼内レンズ(トリフォーカルレンズ)へと進化を遂げてきました。
名称のせいで少し分かりにくいかもしれませんが、つまり「多焦点眼内レンズ」には、2焦点タイプの多焦点眼内レンズ(2焦点眼内レンズ)と、3焦点タイプの多焦点眼内レンズ(3焦点眼内レンズ)とが含まれているのです(このいずれとも違うコンセプトのものもありますが、ここでは割愛します)。