医療技術の発達で、老眼・白内障治療に大きな変化が生まれました。老眼鏡などのメガネをかけるのはできるだけ避けたい、と望む人の声に応えるために生まれた「多焦点眼内レンズ」。ほかの治療法と比べたメリットについて鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が解説します。

老眼治療に用いる3焦点タイプの多焦点眼内レンズ

2焦点タイプの多焦点眼内レンズは「裸眼生活を実現する老眼治療」への道を切り拓いたものの、その完成には3焦点タイプの登場を待たなければなりませんでした。

 

3焦点タイプの多焦点眼内レンズは、ベルギーのPhysIOL社が実質的に世界で初めて開発に成功し、商品化しました。2011年に発売された「ファインビジョン(Fine Vision)」という製品名の多焦点眼内レンズです。

 

ファインビジョンは中間距離の見え方の精度が高く、例えばパソコンのディスプレイや調理中の手元などが非常に見やすいのが特徴です。2焦点眼内レンズに比べると鮮明に見える距離の範囲が広がり、術後に「メガネを使わなくてもよくなった」と言われる患者さんが急増しました。

 

しかし一方で、別の弱点がまだ残っていました。それはレンズの光エネルギーの利用率がやや低いなどの理由により、薄暗いところでは特に最初は少しものが見えにくかったり、コントラストがやや低かったりという点です。

次ページ多焦点眼内レンズ界の革命児

※本記事は、鈴木高佳氏の著書「メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門」(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

鈴木 高佳

幻冬舎MC

鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が老眼・近視・乱視・白内障の悩みを老眼鏡なしで解決する多焦点眼内レンズについて解説します。

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