医療技術の発達で、老眼・白内障治療に大きな変化が生まれました。老眼鏡などのメガネをかけるのはできるだけ避けたい、と望む人の声に応えるために生まれた「多焦点眼内レンズ」。ほかの治療法と比べたメリットについて鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が解説します。
老眼治療に用いる3焦点タイプの多焦点眼内レンズ
2焦点タイプの多焦点眼内レンズは「裸眼生活を実現する老眼治療」への道を切り拓いたものの、その完成には3焦点タイプの登場を待たなければなりませんでした。
3焦点タイプの多焦点眼内レンズは、ベルギーのPhysIOL社が実質的に世界で初めて開発に成功し、商品化しました。2011年に発売された「ファインビジョン(Fine Vision)」という製品名の多焦点眼内レンズです。
ファインビジョンは中間距離の見え方の精度が高く、例えばパソコンのディスプレイや調理中の手元などが非常に見やすいのが特徴です。2焦点眼内レンズに比べると鮮明に見える距離の範囲が広がり、術後に「メガネを使わなくてもよくなった」と言われる患者さんが急増しました。
しかし一方で、別の弱点がまだ残っていました。それはレンズの光エネルギーの利用率がやや低いなどの理由により、薄暗いところでは特に最初は少しものが見えにくかったり、コントラストがやや低かったりという点です。
鈴木眼科グループ代表
神奈川県逗子市出身。栄光学園中学校・高等学校卒、1994年日本医科大学卒。日本医科大学付属第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院眼科に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術をはじめ眼科一般の経験を積む。
2002年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わる。また同年、日本国内での多焦点眼内レンズの厚生労働省治験を行った、東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授の助手として同眼科に勤務し、2006年3月まで、手術、診療、臨床研究に従事。同大学ではほかに、レーシックをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。
2006年国際親善総合病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者の診断と治療を担当。
2010年4月、神奈川県横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。現在は同クリニックの理事長を務めるほか、同クリニックをはじめ県下に計4カ所のクリニックから成る鈴木眼科グループの代表を務める。
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